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緊急警報――ある襲撃事件についてのレポート・3

 随分遅くなりましたが、続きからどうぞー。


 エリアを移したユキナミ達の戦場は、既に、壊滅を始めていた。
「――せいぁぁっ!」
 轟、と刃が渦を巻く。横一文字に薙ぎ払われた長刀が、軌跡上に居た複数の蟷螂の首を跳ね飛す。
「はいはい逃げるなー!」
 狼狽えた蜘蛛達のコアに、光の矢が次々と突き立っていく。なおも果敢に攻め立てようとした残党達が、されど、周囲に舞う炎の嵐に飲み込まれて消えて行く。
 エリアF4――ユキナミ達がF3を制圧し、F4へと戦線を広げるに要した時間は、数分とかかっていない。そして、その戦線が消失するのも、最早時間の問題だと言えた。
「次ぃっ!」
 叫びと共に、鎌を防御に回したディガーダに「その上から」刃を浴びせ、真っ二つに切り落とす。ぐるん、と体勢を回転し、裏側に居た、両足を振り被ったダガンの全身を吹き飛ばす。そうして、まるで呼気を整えることもなく、次の群れへと向けて飛び出していく。
「――相変わらずユッキー、獰猛だねー」
 パパパッ、と次々にダガンやクラーダといった小型ダーカーのコアを打ち抜きながら、ぽつりとリリィが紡いだ言葉。
「まぁ、いつも通りですよ」
 空色の羽を空間に舞い散らし、その全てから炎の嵐――ギ・フォイエを吹き荒らすリユイが、其れを聞いて嘆息した。
「野生の獣、みたいな感じ。つーかあれもう、狂人の類でしょ。普段はフツーなのにねぇ」
 眼前で繰り広げられる虐殺劇を前に、リリィが呟く。
 敵を殺す、その意志にのみ殉ずる兵士の如く、目に付いたものを片っ端から殺し尽くしていく姿は、正しく飢えた肉食獣そのもの。
 縦横無尽に刃と舞う姿は、血飛沫で真黒に染まっていた。其れで居て、口元ははっきりと歪んでいたーー愉悦に。
「否定したい所ですけど、そうですよね。ダーカーとなれば特にですから」
 しみじみと呟くリユイは、そうしてそっと肩を落とす。その横顔には幾ばくかの感情が浮かんでいた。
「なんかあったの? 今まで聞いた事もなかったけどさ」
 リリィが怪訝に思って問いかけるも、
「二人とも、次行くよ!」
 戦場を割る声に遮られ、その答えが返ってくることはなかった。
「はい! ――本人に聞く方がいいですよ、またの機会にでもね」
「あいさー! ――りょーかい、覚えとく」
 見やれば、ユキナミは既に次の標的を探して、次のエリアへと駆けだしている。
 置いていかれてはたまらないと、リリィは全体報告を行っているリユイと共に、彼の後へ続いていった。

<F4まで制圧、F5に向かいます。救助者を探すため、F5エリアで停止します>
<……E2制圧。こっちは10人から居るってのに……>
<残ったE5まで全制圧お願いします、以上>


 今回の市街地において、唯一、一般人の転移が確認できなかった地域ーーエリアF5。
 Aラインから進行を続け、Gラインに阻まれたダーカー達の最終地点。其の最も奥まった地点とあり、空気が明らかに闇色に淀んでいた。
 清らかな水を吹き上げていただろう噴水は、汚れた水溜まりになり果て、崩壊しかける教会の鐘楼は、二度と鳴ることも無くなった。
「――酷い有様」
 ユキナミはただ一言、そうとだけ呟いた。
「ですね。でも、心痛める暇もありません。今は、生存者を探し――」
「――ストップ、二人ともあれ!!」
 先を進めようとするリユイの声を遮って、リリィが切羽詰まった叫びを上げる。そうして彼女が指さした方向を見たユキナミは、リユイと共に、絶句した。
 崩壊した教会の入り口――薄暗がりから飛び出してきた人影。其れは、純白のドレスを纏った、花嫁の姿。世界の誰より幸せになる筈だった、幸福の象徴。息を切らして逃げてきたのか、汚れ一つなかったドレスは見る影もなく汚れていた。何かを背負っているようだが、遠くてよくわからない。
 そして、其の正面に生まれたのは、憎悪の象徴――ダーカー。
「――!」
 即座に走り出す。されど、花嫁とダーカーの距離は、余りにも近すぎた。
「逃げてぇー!!」
 リリィが必死に叫ぶが、それは花嫁が顔を上げる事にしかならなかった。
 動き出していた一匹のダガンが、花嫁の正面に立って、大きく両足を振り上げて――

「――死ぃねぇぇぇっ!!」

 ズガンッ! と、激しい衝撃音と共に、思い切り後方へと吹き飛んだ。
『――え?』
 くるくる回って吹き飛んだダガンは、空中で闇へと霧散する。其れを吹き飛ばしたであろう花嫁の腕には、華奢な体には似つかわしくない無骨な大剣が握られていた。
 仲間の消失を見て、狼狽する蜘蛛達に、其の花嫁は突撃し――瞬時に一匹、二匹と切り捨てていく。
「せっかく、せーっかく、やーっと旦那と結婚するって日に限ってなーんであんたらが来るのよー! 空気くらい読みなさいよダーカーのくせにぃぃ!!」
 最早八つ当たりの域である。其れ以上に、どうしようもないほどの大暴れであった。
 ガオン、ガオンと鉄骨が轟音を奏でる度に、一匹、二匹と潰れ、ひしゃげて塵に戻っていく。
「全員死ねぇぇ!!」
 天を仰いで咆哮する其の姿は、か弱い花嫁ではなく、一匹の戦夜叉。
「うーわー、何あれ怖い」
 三人は加勢に行くことすら忘れて、其の戦ぶりを見るしかなかった。

 筈だったのだが。
「ぴ、ぴぴー!」
『?!』
 聞き慣れた鳥の鳴き声に、三者三様に驚愕の表情を浮かべて、声の方向に視線を投げる。
 いつもの見慣れた、黄色の羽。ふらふらと、歌を歌いながら嬉しそうに近寄ってくる、一羽の鳥――
『ラピピ?!』
 何故、こんな戦場に。部屋に居た筈なのに、こんな危険な場所に。
 そうして思考を停止した三人の事など何一つ気にも留めずに、ラピピは小さな足で近寄ってきて――
「――ぴっ!」
 されど、警告のような一言と共に、其の目を酷く鋭く細め、バッ、と両羽を持ち上げた。其の両羽には――穏やかなラッピーの姿に似ても似つかぬ、無骨な鉄の塊が。
 同時に、気付く。背後に迫っていた、複数の気配に。
「――!!」
 振り向き様に、槍を振るう。牽制程度に放った横薙ぎは、敵影に掠りもしなかった。
 斬撃を避けて下がった蟷螂が、心無しか笑ったようで――

 真後ろから飛んできた未曾有の銃撃が、其の顔面に叩き込まれた。
 瞬きの間もなく、蟷螂の首が吹き飛び、闇へと霧散する。

「――ぴ」
 その現象を引き起こしたであろう、ラピピの静かな声が木霊する。振り向くと、彼が所持する鉄の塊――『ヤスミノコフ』の銃口から、灰煙が立ち上っていた。
 ラピピが持つツインマシンガンには見覚えがある。確か、先日偶然に入手した、ユキナミ自身には使えない物。
「ラピピ。それ、確か前に拾って倉庫にぶち込んでた奴かな? 要るならあげるよー」
「ぴぴぃ!」
 ありがとう、とでも言いたそうに鳥が両羽を持ち上げる。
 そうして、即座に体の前で羽をクロス――次の標的を探す眼を浮かべて。
「頼もしいや。それじゃ僕らも暴れようか!」
「ぴぃ!」
 小気味良い、鳥の声。普段よりも楽しげな其の声を聞きながら、ユキナミは長槍を構え、周囲に存在する敵勢力の掃討に駆け出した。

「あのあのあのあの、ユッキーそういう問題じゃないって。なんでラッピーがマシンガン使えるのとか――」
「考えたら負けですよ、リリィ」
 後ろで交わされたサポート二人の会話は、誰に伝わることも無かったという。
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テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

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やべぇ、考えちゃったよ(>_<)

早よ、続きをwww

らぴぴの中の人は一体誰なのか!w

先ほどはどぅもでしたw

彼女が噂のトキワさんですか?w
アドでクロスバースト&ヘリ墜落は都市伝説では無かったんですねwww

まさかゲームしてて、指がつりそーな程ボタン連打するとは...www

取り敢えず、トキワさんとフレになったので、フレパで連れ回して見ますね(^_−)−☆www

その内トキワさん、運営に個別規制喰らうんじゃないだろぅか?www

No title

<り~ぜさん
 続き頑張ります(;; )
 えぇ彼女さんがトキワさんです。存分に連れ回してくださいですおー(・・ ) 個別規制かかるのかなー(・・ )

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Author:ヴァント
 PSO2世界を旅する、気楽な放浪者の綴り草です。
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