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緊急警報――ある襲撃事件についてのレポート・2

 ちょっと復活気味ついでにてい。
<――アB4が手薄だ、援護を数名頼む!>
<A5制圧完了、B4へ向かいます>
<D2戦闘機不時着、壊されたら不味い援護を!>
<おうよ任せとけぇ!>
 アークスシップ・・・・。今回の戦場に降り立って、ユキナミは静かに戦意をまき散らした。
 転送地点の周囲には、崩壊した文明の跡を闊歩する真黒の蜘蛛――十数体のダガンの群れ。
 その全ての意識を己に引きつけながら、ユキナミは声を投げた。
「リユイ、今は?」
「エリアF1の壊れかけのワープゾーン。素晴らしいですね、周囲全て敵ですよ。毎回毎回私達に恨みでもあるんですかね、あのド低脳オペレーター。帰ったら眼鏡かち割ってやる」
 ぶつくさ呟くリユイの言葉を聞き流し、ユキナミは長刀を構え、飛び出した。


「リユっち落ち着いて、仲悪いのは知ってるけど落ち着いてホント」
 その後方で、若干冷や汗を流しながら、リリィが呟く。
 ピー、とまるで抗議でもするかのようにオペレーターコールが鳴り響いたのはその直後。
【だーれがド低脳ですかそこのちんちくりん! しょーがないじゃないですか、ちょっと6区画間違っただけなんですから、誰にでもあるじゃ――】
<何回目ですかダメリッタァァ!! とうに十の指じゃ足りなくなってんですよ敵陣のど真ん中に転送されたの!>
 オペレーターの抗議を断ち切り、長い髪を振り散らかして少女が叫ぶ。声だけで虫程度なら殺してしまいそうな程度に殺意を込めて。
【てへっ】
<今すぐ焼きに行くから待ってて下さいね>
【じょ、冗談だから! あ、私他のオペレートもあるからとにかくガンバ!】
 プツン、と一方的に通信が切れる。
「――今度こそ燃やしてやる」
「いいから落ち着きなって……というか良く余裕あるね、この周囲敵に囲まれてる状た――」
 ズダン!! と、地を縫いつけるような音色。慌てて視線をやれば、二匹の黒蜘蛛がユキナミの長刀に串刺されているのが見えた。
 瞬時に塵へと還っていくのを振り払うように、彼が長刀を振るい、そうして、背に負った。
「終わり、次いくよー」
「……あ、もう終わったの」
 呆然と、リリィは呟いた。まだ弓を構えてすらいなかったのだが、気がついてみれば、周囲の敵影は消えていた。
「? そりゃ所詮ダガンだしさ、一分も要らないよ」
「……あぁ、ユッキーとマスターが異常だったって忘れてた……最近一人でしか旅してなかったからなぁ……」
 本気で呟くも、彼は何が何やらと小首を傾げるに留まった。

「マスター、リリィ。お話はそこまでですよ、次に向かいましょう」
<F1制圧、F2に向かいます>
 エリア全域に対して報告を行いつつ、リユイが呟く。
 ユキナミと共に居るときの彼女の仕事は、ユキナミに代わって戦場の状況を確認し、報告すること。
 同時に、何も考えていないユキナミに代わっての戦況把握である。
『はーい』
<F1?! 分断されたエリアに落ちたのか、今すぐ援護に向かう! 無茶は――>
<こちらエリアD3、頑張って耐え凌いで! 私達が繋ぎに行くから>
 二人の返事に被さるようにして、全体報告として飛んできた大慌ての誰かの声に、しかしリユイは淡々と返答した。
<お気遣いなく、この程度は日常です。今は不時着した戦闘機の援護を急いで下さい、対空戦力が不足しています。エリアF、またはEラインの制圧を目指しますので、現状の戦線であるエリアDラインを維持、またはEラインまで制圧のほどをお願いします>
<……え?>
<――そちらの人員は? 明らかに不足していると見受けられるが?>
<三人です、以上>
 大口を開けていそうな誰かの声を聞き流し、リユイは杖を握りなおした。
「とにかく、エリアFラインは潰しましょう。幸いAーFラインに攻め込まれただけで、Gラインから先は防衛機構が間に合ったようですから、これ以上一般の被害は広まりません」
 淡々とした状況説明に、ユキナミが小さく頷く。
「おっけー、一般人の救出は?」
「間に合った人については転送は行われたようですが、F5エリアは異常が出たらしく転送が行われた形跡がありません。急ぎましょう」
 リユイが言葉を切り、前を向く。進むべき、ダーカーが蠢く方向を。
 数体の小蜘蛛が、様子を見るように姿を見せ――その全てを、リリィの矢が打ち抜いた。
「おっけー、行こう!」
「先に行くさ、援護宜しくっ!」
 言下、ユキナミが飛び出していく。死に損なったダガンのコアを踏みつぶしながら、強烈な速さで。
 その背中を追って、二人もまた同速で駆けだした。


<……一体誰だ、エリアFに居るのは? 正気か?>
 呆然とした男性の声が、こぼれたように戦場に落ちる。
<戦闘機修復完了! D3に移行する!>
 それに答える声はなく――
<……気にしている余裕はないわよ。ともかく、私達も急ぎましょ――>
 戦場は止まることない。
<D4、ヘルプー!>
<<了解!>>
 優秀な戦人達は、己に生まれた困惑を振り払い、また戦場へと戻り行く。

 ――ぴぴー。
 似つかわしくない間抜けな声が響き渡った事にも気付かずに。
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テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

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次はまだかぁー‼︎

次はバルバラピピと戦闘とみた!www

Re: 次はまだかぁー‼︎

<り~ぜさん

 んな鬼畜な世界観ヤダ(・・ )
 スタイリッシュ動画から連想した世界を書いてみたら、なんか色々おかしくなりました……。
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Author:ヴァント
 PSO2世界を旅する、気楽な放浪者の綴り草です。
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