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緊急警報――ある襲撃事件についてのレポート・1

 余りにもブログ更新できてないので、小説ですけども、時折更新して行こうと思います。
 ここでリリィ初登場させるつもりだったのに、どうして前回小話形式にしちゃったのか(・・;)

 続きから、どうぞ。



「暇だよーリユイー」
 無造作に楽器やら井戸やらベットやらが乱雑に立ち並ぶ部屋にて、ゴロゴロとベットに寝転がったまま少年が呟く。小さな角付きの顔には、はっきりとやる気ないとしか書いていない。
「暇だよリユっちー。なんかして遊ぼーよー」
 其の隣で似たような顔をして転がる少女が一人。蒼い髪を短く纏めたその頭には、少年と似た角が二本ほど延びていた。愛用の弓をベットの脇に放置して、全力でダラケることに精を出している。
 そんな二人分のうめきを聞いて、机に座っていた少女――リユイの額に、はっきりと青筋が走った。
「うるっさい! マスターも、リリィもどっか行ってきて下さい! 人が報告書仕上げてる横でうだうだと喧しい! 大体リリィ、此処あなたの部屋違うでしょうがぁっ!」
 アークスには例外なく、一人につき一部屋、自分の部屋が割り当てられている。それぞれの部屋は知り合い同士であれば自由に行き来ができ、別の部屋で寝泊まりも無論自由。それはサポートパートナー達にとっても同じく、しばしば――というか超頻繁に、ヴァントのサポートであるリリィは、ユキナミの部屋に遊びに来ていた。最早どちらがマスターなのか、わからなくなっている始末である程に。
「だってさー、うちのマスターほっといてもどっか出かけるしさー、基本的に部屋帰ってこないし暇なんだもん」
「ぴぴぃ」
 ふてくされた声に同意したかのように、別の誰かの声が挙がる。最早鳴き声であろうその声は、同じくベットに座り込んでいる黄色い鳥が放った物。
「ラピピもそう思うっしょー?」
「ぴぃ!」
 威勢良く同意したその鳥は、本来であれば此処にいる筈がない、一匹のラッピー。
 元は、以前にヴァントとクーナが偶然に、森林で助けたラッピーである。といっても、助けただけでその場で別れたのだが、その後、何故か「アークスシップのヴァントの部屋」に出没するようになっていた。
 どういう手段を使っているのか不明だが、ナベリウスはおろかリリーパ、アムドゥスキア、果てはウォパルにまで出現するようになり、「何処にいてもおかしくはない」とヴァント、クーナも匙を投げていた。
「……あのですね、つっくづく言いたいのですけどね、その子が此処にいることも本来であれば異常なんですけど……」
『固い事言わないのー』
「ぴぃ!」
 そんな中、置いてけぼりを食うことが多いリリィと意気投合したのか、彼女と一緒にユキナミの部屋まで遊びに来る始末である。手土産に持ってきている林檎は超絶に美味であり、ユキナミも喜んで門戸を開く状況である。
 それ全てが常識人であるリユイの頭痛の種になっている事は、言うまでもない。
「ともかく、少し静かにしてて下さい! 終わったら暇潰しでもクエストでもなんなりと――」
 鼻息荒く、少女が吼えた――その、刹那。

 ビィー、と、非常事態を知らせる音と共に、
<緊急警報発令! アークスシップの一船が、ダーカーの襲撃を受けています! アークスは、至急応援願います! 繰り返し――>
 異常を叫ぶオペレーターの声が、日常を瞬く間に非日常へと変化させた。
「――悠長なことを話す暇もなくなりましたね、全く」
 入力中だった端末を落とし、リユイが力なく頭を振る。
「いつものこと」
「そーそ、気にしちゃ負けだよリユっち」
 ユキナミは長刀へと手を伸ばし、冷たく笑った。
 リリィも同様に、肩をすくめて弓を手に。
「ぴ、ぴー」
 唯一この中で戦闘能力のないラピピが少し不安げな顔で呟いた声に、ユキナミは笑ったまま彼の頭を静かに撫でた。
「大丈夫、皆帰ってくるよ。お土産、楽しみにしててさ!」
「――ぴっ!!」
 見よう見まねか、小さな羽を折り曲げて敬礼するラッピーに、ユキナミも同じ動きを返す。
 それから、武器を手にしたサポート二人を見回し、少年は笑った。
「行こうか!」
「もち!」
「はい」
 二人からの快い返答を引き連れて、ユキナミはワープポイントに足を踏み入れた。


「――ぴぃ」
 ポツン、と一人残った部屋の中で、ラピピは静かにうなだれていた。
 どんな場所にも行けるけれど、何かあったときには何もできない事は、彼にとってはどうしようもなく辛かった。
 あの時助けてくれたクーナに恩返しをしたくて遊びに来ても、隣にいることもできないのは、悔しかった。
 何もできず、首を振る――その目が、ふと、部屋の隅に置いてあった箱に止まった。
「……ぴ?」
 さっき、リユイが触って、長杖を取り出した箱。普段は薄ぼけた色に光っている其れが、眩しい画面を映し出している。
 よく分からずに近づいて、適当に触ってみる。長い棒、薄汚い刀、丸い変な形をした何か、L字型の物二つ――
「ぴぴ?」
 そのL字型の何かをみて、ラピピは静かに首を傾げた。


 単に倉庫を閉じ忘れたリユイのケアレスミスが、次にいかなる衝撃を引き起こす事になったか――
 この時は、誰一人知る由もなかった。
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テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

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