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The changing world ~変転する世界・結~



The changing world ~変転する世界~   


目を疑うべき話(Re ver)                  


目にモノ見せてやるべき話         




 今までの物語を読み終わられた方は、どうぞ、ご覧下さいませ。






 ――ご――ね――。

 遠い、遠い、遠い声。
 途切れ途切れに、聞こえたかもしれない声がして。
「――――!!」
 音にならない悲鳴を上げて、少女は思いきり体を跳ね起こした。汗ばんだ額を拭って、大きく呼吸を繰り返す。
 何度かの深呼吸の後に、少女ははたと気がついた。
 ――……ここはどこ?
 機械的な床と壁、耳元で鳴り響くアナウンス。何よりも見慣れた周囲の状況――キャンプシップ。
 ――……何故。
 少女――リユイは上半身だけを起こしたまま、思考回路を必死に回転させた。
 意識を失う前に何があったのか――
<――PSEバースト、継続、否、規模拡大しています!!>
 周囲通信。
 キャンプシップの中に居てもなお響いてきたその通信情報に慌てて状況を確認して、目を見開く。
 戦闘の状況――混迷を極めている中、大型のダーカーが出現し、それの対処に当たっている、いつもの皆――大切なマスター。皆だけで、戦っている。
 どうしてそうなっているのか、分からない。けれど、何をすべきかなんて、決まってる。
 キャンプシップと繋がってるテレパイプを確認――問題ない。体は動く、頭も動く。全力では戦えなくても、武器も使える――なら。
 ――今、行きます。
 リユイは即座に跳ね起きて、転移先へと思い切り飛び込んだ。




 ――ッッ!!
 飛来する尻尾の乱打を最小の動きで避けきって、カウンターの射撃を太った腹に叩き込む。
 怯みも痛みも見せない達磨鳥に、しかし、リリィは静かに笑って見せた。
 ――いけるッ!
 背後へと隙を見て飛びのきながら、周囲に視線を這わせる。
 向こうでは、周囲の掃討が済んだラピピが、ユキナミ、マンルーンの援護。
 同様に戻った椿がテクニックとウィークバレット――レンジャーではない椿だが、何故かガンスラッシュでウィークバレットを撃てる――による支援射撃。
 また、前衛二人も完全に戦い方を理解して、徐々に敵と対等に戦えつつある。
 この均衡状況に持ち込めた理由として、何よりも大きかったのは、椿からの情報――というか援護。
<ウィークバレットを打ち込みます! リリィさんは頭、ユキナミさんは腕、マンルーンさんは腹部にマークがついた敵だけを狙って下さい!>
 ガンスラッシュで小気味良くウィークを撃ちながらの。
 言われた時は「?」と脳内マークが浮かんだが、とりあえず指示に従って戦っている内に、指示の意味が理解できた。
 高速で飛び回る達磨鳥に思い切り翻弄され続けていて気づけなかったが、この達磨鳥、三体とも同一個体のように見えて、実際は違っていた。
 炎と氷と雷を使える鳥三体、ではなく、炎の鳥、氷の鳥、雷の鳥。それらが戦場を高速で飛び回り、適時戦う相手が入れ替わっていた――ただそれだけ。
 その上で、炎の鳥は中距離を、氷の鳥は対地上を、雷の鳥は接近戦を、それぞれ得意にしている事も、椿が見破って教えてくれた――正確に言えば、理解できる状況にしてくれた。
 初めに戦闘していた雷はインファイト――リリィとの相性は激悪。されど、頭にウィークバレットが張られた相手は炎――リリィが得意とする中距離の戦闘を主にする相手。得意な距離での勝負、早々負けるつもりも負ける理由もない。そして、それはユキナミとマンルーンも同様。
 ――これで、何とか均衡状態。
 絶望が確定していた戦況が、ゆっくりと優位へと傾きつつある。
<おーい、生きてるかー!!>
 加えて、外部からの全体通信が入るようになってきた。周囲で何故かバースト祭りが起きていて中々援軍が来ないとはいえど、明確な希望が見えている。
 されど、現状はまだ不安定。五人掛かりで、ようやっと均衡――言い換えれば、この状況であっても、誰かが崩れれば一瞬でひっくり返されかねない。
 加えて、援軍がこちらにたどり着けるまで、どれだけの時間がかかるか分かったものではない。
 ――せめて、均衡を崩せる何かが起きてくれれば。
 贅沢な悩みだと分かっていながら、それでも願わずには居られない。この均衡状態を、完全にこちら側へ傾けられれば――

 ――ヒュンッ。
 空から聞こえた、風切り音。反射で見上げた先に移ったのは、深紅の羽。
 ――!?
 直後に舞った、炎の嵐――達磨鳥を巻き込むように、封じ込むように放たれた其れ。
 火力よりも、動きを奪う事を最優先にした援護――合わせて射撃を叩き込み、安全距離まで離脱。
 ――今のは。
 ちらり、と背後に――ユキナミ達の戦場を見やる。
 空を舞う人影――見知った、先ほどまで眠っていたはずの少女。
「――ユキナミさん、それと皆、大丈夫!?」
『リユイ!?』「リユっち!?」「ぴぴぃっ!」
 ――休んでるんじゃ!?
 思い返し、しかし思考を止める。キャンプシップに送ったとは聞いていたが、それ以上は聞いていない。もし自分が同じようにされたなら、きっと彼女同様、目が覚め次第にでも戦場に舞い戻っていただろうから。
 それに、病人だろうがなんだろうが、重要すぎる戦力だ――均衡をひっくり返しうるレベルの、強力な援軍だ。
「――リユっち、そんままユッキーの援護に!」
 相手をしている鳥に向き直りながら、指示を叫ぶ。
 あの主従――両者とも、爆発的な攻撃力を持っている――であれば、数分と掛からず一匹は消せる。そうすれば残りも一気に楽になる――

 ――ギィォォォッ!!

 その咆哮は、そんな思考をすり潰すかの如く放たれた。
 三匹が同時に咆哮――直後、瞬時にリリィの目の前から相手していた鳥の姿が消える。
 ――!?
 反射で振り向く。ユキナミとマンルーンが相対していた鳥達の姿もまた、消えていた。
「えっ?」
「ぴぃ?」
 標的を外したユキナミ、ラピピが不思議そうな声を上げる。
 まさか、撤退したのか――否。
 あの叫びは撤退を意味する声には見えなかった。もっと、明確な合図。
「気ー抜くなよあんたら!」
 近くへと駆け寄りながら叫んでおく。言わずとも分かっているだろうけれど――
「――あそこ!」
 マンルーンの叫びに、指し示された方角を見据える。
 ユキナミ達の戦場――その更に奥。大きな広場になっている場所。
 消え去った姿のまま、三体寄り集まって、広場の中心に集結している。三体を覆うように、円陣のような何かが展開されていて。
 それはまるで、何か儀式でもしているような――
 ――それは、やばくない?
 はたと気づき、即座に矢を打ち込む――全く手応えなく弾かれた。同時に放たれていたリユイのフォイエも空しく霧散する。
 ――無理かっ!
 防御隔壁のような何かで、まともに破壊するのは不可能だろう。フォトンキャノンクラスを叩き込んで、ようやくぶち抜けるかどうか。
 そうして、攻撃ができたのもそこまでだった。

 ――ギィェァァァ!!

 再度の咆哮――地揺れ。
 ぐらついた地面にふらつきながらも、リリィは視界の端に出現したそれに気づいた。
 ――塔!?
 アスファルトから生えてきたかのように、隔壁際、垂直にそびえ立ついくつもの塔。ダーカーの気配に満ちた、人の背丈を優に超える建造物。
 その頂点から放たれている、エネルギーのような何か――否、送られているかもしれないが――は鳥達へと繋がっている。
 その塔から、そして鳥達から感じる感覚に、脳内では警報が鳴りっぱなしだ――あれを潰せ、と。
 三匹の周辺には障壁――途方もなく堅そうで、ぶち抜くには明らかに火力が足りない。
 ――なら!
「塔、全部打っ壊して!」
 吠え――弓を構える。
 周囲を俯瞰し、塔の位置を確認――状況把握。
 ――広場の中心にあいつら。あたしらの近くに三本、遠い所に三本。合計六本!
「ここの三本はあたしがやる! 他よろしくっ!」
 叫び、弓に力を注ぐ。全身のフォトンをかき集める。
 切り札の切り時――そう判断する。
 ――距離的にはもうこれしかないか!
 ありったけ、全て、全て。周囲、大気、大地、自らが存在する場所、そこに存在する何もかもから。
 制御しきれない大量のフォトン――其れ全てを己の弓へと注ぎ込む。
 最も遠くの塔へと狙いを定め――
「――ってぇ!!」
 瞬時に塔が吹き飛んだ。
 未曾有の神速の矢。終焉の女神と名付けられた、高い火力と超射程を持つ代わり、一射にひどく時間が掛かる技――ラストネメシス――を、フォトンの矢をフォトンが続く限り吐き出す技――ミリオンストーム――と組み合わせたリリィの独自技。
 崩壊と同時に次に、次に。放ち続けたままターゲットを切り替える。
 ――きっ、つ……!
 魂を引き抜かれているような、全身のフォトンが枯渇していく感覚。一射の為に、狙いを付けてから数秒と全力のフォトンを使用する射撃――其れを高速で連射するのだから当然の話。
 されど、その分のリターンは十分。
 二本、三本。数秒と掛からずに、目標が全て瓦解する。
「――っは」
 構えを解き、息を吐く。バランスを崩して、体が前のめりに崩れる――ギリギリで耐える。
 放って数秒。其れで、担当した塔は全て消し飛んだ。
 そのかわり、体内フォトンが一切ない。周囲からかき集めたフォトンも全て使いきって、殆ど体が動かない――塔を壊し終えるまでに回復するかどうか。
 ――任せたよ、後は……。
 その場に跪きながら、リリィは声にならぬ声でそっと呟いた――
 故に、向こうが配置していた格別の悪意に、彼女は気付くことが出来なかった。




 ユキナミが塔の位置を理解して気付いたのは、一番遠い塔までの距離――嫌がらせのように遠くへ配置された其れ。
 塔の堅さもあるだろうから、一人だと壊せて一本が限界。距離的に、一番遠い所から壊していったら間に合わない。
 だったら――
「僕が一番遠く行くから!」
 近くの物はマンルーン達に任せて、一番遠くを。
 ダッシュ――ひたすらにひた走って、到着と同時に切りかかる。明らかに堅く、弾かれる――気にせず切り続ける。最早それ以外にできることもない。
 切って、切って、切って。砕けて、亀裂が走って、歪み始めて。
 ――壊れろ、折れろ、ぶち壊れろ!!
 死に物狂いで切り続けて――
「――セェァァァッ!」
 横薙ぎ、一閃――スライドエンド。その一撃に、担当した塔が崩れ落ちた。どうにか間に合った。
 残った一本も、すぐに崩れるだろう。
 呼気を整え、鳥達の方を振り返る――
「……え?」
 思わず自分の目を疑った。

 三匹の巨鳥は、固まったまま。未だ、三鳥を囲む円陣は発生したまま――どこかの塔と繋がっているような光が三方向に複数延びて、その円陣と繋がっている。
 視線を走らせる。
 一方向――今、皆の攻撃で崩れ落ちた最後の一本の繋がっていたのは、消失した。
 残りが繋がっている先は、両方向とも、隔壁の向こう側。
 ――なっ……!
 隔壁の中にしか発生しない、と勝手に考えていた。
<なんだ、この塔!?>
 聞こえてくる一般アークスの叫びが、その仮説が正しかったと証明してくれた――どうしようもないことを、実感させてもくれた。
 仲間達を見やる--リリィの腕を掴みどうにか脱出路を探す椿、ラピピと共に駆け出すマンルーン。
 最後の最後で、こんなに近い距離なのに分断された仲間達。
 その中で。
 ユキナミは迷わず彼女の元へ駆けだしていた。
 --せめて、リユイだけでも、守らなきゃ。
 どうして、そう思ったのか。
 彼には、分からなかったけれど。
 それでも、その想いだけが、彼の全てになって――



 殺意と悪意によって作り上げられた、破壊の塔達。周囲にダーカー因子をまき散らし、役目の時を待ち続ける。
 其れは、死線を潜り抜け、抗い続けた者達をあざ笑うかのように鎮座している。
 舞台を整えた演出家の筋書き通りに、塔のエネルギーによる皆殺しの幕引き――


 されど。

『いーじゃん、盛り上がってきたねぇ!!』
 とある少女の咆哮が、歓喜の色を天高くまで塗り付ける。引かれようとしていた幕引きの結末を、真っ向から笑い飛ばすかの如く。
『あーあー、聞こえるかなゴミ虫ども――そこ逃げないと、死んじゃうよォ?!』
 天地を揺らす、火気狂いの絶叫。
 叫びが向けられた先は、共に戦う筈のアークス達――それらが集っている禍々しい塔。
 彼女の前に立ちふさがる障害物を見定め、そうして感情のままに動き出す。
<『朱雀』! 門はライサに任せ、貴方は塔の破壊にのみ専念して下さい!>
『あれそうだっけ?』
『私はどちらでも構いませんよ』
<え、いや構いませんじゃなくて>
 通信先の困惑した声を聞きながら、狂った笑顔の少女が笑う。
『こっちの方が面白いよー!』
<いえ、あの――!?>
 話しながら、動きは止めない。
 流れるように構えられていく、超巨大長銃――人型の巨大機械にセットされているそれに、青の光が集まる。
 狙い定めるは、塔――その奥にある、閉じられてしまった隔壁、其れ二つ。
 フォトンのチャージを開始――慌てて逃げ出す足下のアークス達など目もくれず。
『ハハハハハッ!! ー―あぁいしてるんだァァ、君達ヲォォッ!!』
 彼女が駆るその機体は、彼女の意志のままに、その撃鉄を落としていた。


 破壊のエネルギーを纏う塔に、セカイが怒っていた。
 セカイと謳う少女と同じくらい、怒っていた。
 色彩豊かなセカイを黒と赤で塗りつぶそうとする意志に向けられる、鮮烈なまでの怒り。
 ――そんなに赤と黒が好きなら。
 彼女の歌が三度変化した。



『きゃっはー!』
<凛! 大通りから逸れるな! 建物の破壊許可など始末書では済まないぞ! 止せ凛――!!>
 通信先の叫び声。
 聞こえないままに、建物を足蹴に、大地を吹き飛ばし、ひたすらに前に飛び続ける。
 なんたって、頼まれたのだ。
 あの人から、頼まれたのだ。
 いけるか、と聞かれたなら、行かない選択肢なんて存在しなかった。
『凛ちゃん、がんばっちゃうぞー!!』
 高速で目的地へと突撃する――そんな凜に聞こえた声は、とても心地よい、知り合いの唄だった。



『私はこのセカイが好き』
 世界しか理解できない特殊な言語でそっと告げられた、苛烈な愛の告白。
『だから、壊すなんて許さない』
 大好きだから、それを壊す存在なんて許せない。
 具現した赤い卵に詰め込まれた感情は、情熱と怒りと果てしない愛情。
 狙い通りに塔へ向かう卵の殻が割れれば、ぶちまけられたのは真っ赤な炎が無駄に華美な金の装飾を、真っ黒焦げの炭から真っ白い灰へと変えた。



 世界から祝福された唄による断罪の炎と、火気狂いが解き放った破壊の砲撃。
 双方向から放たれたそれらは、そびえ立つ柱と、隔壁によって下ろされようとしていたカーテンコールを、完膚なきまでに破壊した。




 天地に響く咆哮。
 何か聞き覚えがあるようなその声と同時に『隔壁』――初めにユキナミとリリィ達を隔てた壁――が吹き飛んだ。
 其れと全く同時に、真後ろから轟音。視線だけ振り返る――背後にあった隔壁が土煙と化していた。
 まるで示し合わせたかのような出来事。鳥達の隔壁も消えていて、三体ともが倒れたように地に伏せている。
 もうもうと煙が立ちこめ――ボッ、と、土煙が吹き飛んだ。煙の壁を突っ切って現れた、巨大な機械。
 見たこともない大きさの、人型の機械達が、両方の隔壁から一体ずつ。
 瞬時に、鳥達との距離が詰まって――
『射撃は苦手ですが、ここまでくれば!』
『やっはぁぁぁ!』
 人の声――やっぱり知り合いの――に合わせて機械が動いた。背負った巨大な銃を鳥達に向け――斉射。
 蒼光の射撃――フォトンキャノン。其れが二方向から集まっている標的へと撃ち込まれ――爆発。

 この間。
 瞬き一つ、できなかった。
 ――……え?
 現状把握が追いつかない。頭の中が疑問符で一杯になる。その中でも、かろうじて理解できること――
 ――とりあえず合流しなきゃ。
『あ、オーバーホールにゃ』
『こちらも全エネルギーを使い果たしたようで、動きませんね』
『最高だ貴様らぁぁぁ!! ――あれ、ユキナミ氏?』
 戦場の空気も吹き飛んでか、明らかに聞き覚えのある知り合い達の声が聞こえてくる。どこか穏やかさすら感じる声音。
 聞き流しながら、皆の元に。
 半死人かと思える位に表情が暗いリリィ、其れを支える椿と彼女に声をかけるマンルーン。ハイタッチしているラピピとマーガレット、比較的安堵している様子のリユイ。
 ――無事でよかったー。
 これで、全部終わった。
 何気なく振り返る。フォトンキャノンによって作られた土煙――あの三体が居た場所を――




『やれやれ、結局こうなるのか。無駄な手間だったな』




 ――ッッッ!
 聞こえない筈の何か――ユキナミにとっては理解できる筈も無い、敷き詰められた悪意の集大成。
 全てが終わった筈の戦場に、全身が総毛立つ――本能の警告。
 ゾクリと震えた全身――あり得ない事であっても、直感的に放たれた警告は。
「まだ! まだ終わってないッ!!」
 今までの非常事態、その全てを上回る危険な状況。
 殆ど、理論も何もない直感――されど、戦闘中の直感が外れたことは、一度もなかった。
 霧散していた戦場の空気が戻る。
 中央の煙が薄くなり、視界が確保されて――倒れ伏す三体の鳥の死骸が、全員の目に映った。
 形を保っていた死体達――されど、大きく膨らみ始めていた死骸達。
『にゃっ!?』
 悲鳴に合わせたように、ブクリ、と大きく膨らんだ。
 まるで、火蓋が落とされた爆弾のように――破裂寸前の風船のように。
「逃げろォォッ!!」
 叫ぶ――されど。
 ――逃げきれない。
 そんな事、分かりきっている。
 自爆まで保っても数秒。どれほど体力があれど、自力で逃げきれる距離ではない。
 爆発まで、残っている余裕など微塵もない――

 ――だったら。

 覚悟とともに、『秋断』を振りかぶる。
 足を止め、仲間達へ向けて――全力で秋断を薙払う。
 フォトンを全部使い果たして巻き起こす暴風――仲間達を少しでも遠くまで運ぶための、全力の暴風、
「――キャァァッ!?」
「ピィィッ!?」
 彼女達の叫び声――
 吹き飛ばした中でも、一人だけ、最後までユキナミを見つめていた少女――リユイ。
 ユキナミは静かに、口元を緩めた。


 暴風――轟音。
 背後に、何か、気配。
 ――爆発。
 世界が、消えた――そんな衝撃。

「ごめんね――」



 少年が落とした、最後の呟き。

 其の音と、彼の姿は。

 世界を壊す衝撃に飲み込まれ、光の中に消失した。





 ――あとがき。
 語るべき言葉はなく。
 最後の結末にてお会いしましょう。

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