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あるモノ達の想い~ウェポノイドはロマンが詰まってる~




 短編です。よろしければ、続きからどうぞ。
 見慣れた部屋だった。
 程々に掃除された、少なくともゴミや埃はない部屋。無駄な物がない分脱ぎっぱなしにした服がつい目に行ってしまうが、それも緊急のせいで簡単に片づけられるものだ。
 ――片づけるのは大体自分でないけれど。
 止まれ、問題は見慣れた部屋にいる見慣れない人影だ。
 部屋の隅も隅、住人ですら用がなければ目も向けないような場所に誰かが蹲っている。
 膝を抱えて俯く顔を隠すのは、透き通った紫の髪。黒衣、と言って良いのか迷う最低限の装飾が施された黒のワンピース。
「何をしてるの?」
 問うたのは、ツミキではなかった。
 長い金髪を一つに纏めた女が、そこにいた。首元だけが黒い青の軍服に身を包んだ、鋭さを伴った美貌の女。
 なのに何故か、ツミキは彼女に親近感を覚えた。 
「ぁ、う」
 問われた人が、顔を上げた。
 髪で隠れていた顔は、意外と幼く少女という感じだった。というか、髪のボリュームが凄い。頭上で結んでるせいなのか、左右に思いっきり広がってしまっている。
「おねぇちゃん」
「いや、違うよ。言っても親戚ぐらいだからね。逆に妹だったら話しかけないし」
「おねぇちゃん」
 よくわからないやりとりだが、最後には女性の方が疲れたように肩を落とした。意外と苦労性なのかもしれない。
「……うん、分かった。それで、そんな隅っこで何してるの?」
「……隠れてる」
「どうして?」
「だって、見つかったら」
 其処まで言ってまた俯く。そこまで言ったなら最後まで言えと思うが、いつの間にか蹲る少女の隣に近づいていたその人は怒ることはなかった。
「見つからなかったら良いの?」
「……」
 ――はっきりするのです!
 言いたい、凄く言いたい。でも、言えない。
 というか、気づいた。
「私は、おねぇちゃん達と違って役立たずだから」
「貴女の方が本当はずっと凄いのよ?」
「でも、他の子の方が、もっと凄いって。私より、他の子が良いって。私、ダメなの」
「……そっか」
「もっとすごい子がいっぱいいるんだって。どうして私、生まれて来ちゃったんだろう。おねぇちゃん達の後なのに、おねぇちゃん達より役立たずなのに」
 静かに涙を流す少女の言葉は、ツミキの琴線をかき鳴らす。
「私の相棒も、時々同じようなこと言ってたよ」
「え?」
「『役立たず』とか、『ダメ』とか。でもね、その後必ず『もっと頑張らないと』とか、『休んでられない』とか言うの」
「……すごいね」
「うん、私の自慢。前ばっかり見ちゃうのは欠点だけど、前を見続けられる強い人」
 両手に、何かが触れた気がした。いや、いつも握っている物の感触が、何故か蘇った。 
「本当に『弟』か『妹』なら奪られそうだから黙ってるつもりだったんだけど、私だけだと難しいことも多いのよね」
「?」
「貴女、ここが良いの?」
「……もう別の場所行くのやだ」
 答えと呼ぶには余りにもお粗末だったけれど、少女の言葉に女は笑っていた。
「そうね、似た者同士だし、貴女ならきっと――」
 不意に。
 見慣れた大きな手が、見えた。
「あっ!」
 見えたと思った瞬間、乱暴ではないが慈悲もなく、少女の両腕を掴んでいた。
「おねぇちゃん!」
「待って!」
 女が叫んでも、手は少女を放すことはない。そのまま、見慣れた部屋の向こうへと行ってしまう。
「やだ、私、ここが良い! おねぇちゃんと一緒が良い」
 鐘を鳴らしたような、大きな音がした。
「助けて!!」




 ――ガタンッ。
「!!」
 物音に跳ね起きる。
「あ、ごめんツーちゃん起こしちゃった?」
 呼び声。声の方に視線を向ける――同時に思考が回転し始める。
 ツミキは一息ついて、自分の状況を確認した。
「大丈夫なのです」
 心配そうに聞いてくるソルムに適当に相槌を打ちながら、周囲を見回す。
 寝起き――寝巻きではなく、仕事服。見慣れた自分のベット、寝室。ソルムが居るのはリビング――きっと家事をしていたか何か。
 何があったのかを思い出す――緊急。そう、深夜に発生した緊急事態。
 アークスシップの一隻が襲われて、大慌てでソルムと、そして起きてたリリィと突撃して。
 終わり次第、酒を飲みに行ったリリィと別れてベットに飛び込んで――
「――……?」
 さっきの物音の原因を探るべく、視線を投げる。壁際――倒れている、自分の愛剣、ラムダアリスティン。
 でも思い出したのは、夢の中の軍服を着た女性。
 ――……まさか、なのです……?
 思考を切り替えて、ふっと彼を見る。
 彼も仕事着のまま、ただしその両手には何かが入った箱。
「ソルムー。今、持ってる箱、何か入ってるのです?」
 何となく答えを予測しながら、問いかける。
 其れに、彼は首をかしげながらも、丁寧に言葉を返してくれた。
「この緊急で貰った希少な武器だよー。でも、僕には使い道が無いから、エクスキューブに変えて貰おうと思ってる武器だけど――」
「良かったら、見せてもらっていいのです?」
「え? いいよー」
 彼から渡された箱を見て、中身を確認。
 成程、確かにソルムには使えない、必要の無い武器――というか、大体の人について使い道が無い武器。
 緊急を終えて帰ってきた所で、参加したアークスの戦績に応じて配られる武器の一つ。
 弱い、という訳じゃない――けれども、決して強い武器ではない。希少では有れども、使うアークスは殆ど居ないと言っても良い。
 お金がなくて強い武器が買えない、修理に出してる、そういう諸々の事情が生じた場合を考えて配られるそれらはリサイクルショップに持っていけば、色々と使い道が多い結晶とも交換してくれる。大抵のアークスは其れを選択する。
 ほんの一瞬前までは、きっとツミキも同じようにリサイクルに持って行った違いない物。
 ――……そういう事、です?
 壁際に倒れた愛剣を見る。
 現実にはありえない、まどろみの中にあった泡沫――けれど、其れを一笑に伏せるほど、冷徹な人間ではなくて。
「ソルム、一つお願いが有るのです」
 ツミキはためらい一つ無く、その提案を口にしていた。


 結論として、ツミキの提案はあっさりと承諾された。
 ツミキの不要な稀少武器の代わりにソルムから貰った武器は、綺麗な紫の自在槍。
 不思議なことに、本来以上の力を引き出す為の強化では一度も失敗することなく潜在能力までストレートで解放され、クラフトにおいても大成功の連続だった。
「ダメだけど、頑張る。拾って貰った恩は絶対返します……なのです!」
 そんな声が、聞こえた気がした。
「これからよろしく、なのです」
 最新技術で作られた大量生産のノコリモノ、自分とよく似た武器――ディオハイペリオンにツミキは一礼した。







 ――あとがき。


「皆様読了感謝です。次回緊急では良いものが出るかエクスキューブ交換が捗りますように★」
 酷すぎる相方の発言はさておいて。
 仮宿「空の止まり木」内のメンバーから聞いたウェポノイドという武器の擬人化世界観から、この物語は生まれました。

 この世界では各個人の戦績に応じて、配布された武器――成績が良い人には其の中でも希少な物を割り当てられる、という世界感です。
 が、結局配布される程度の武器は量産品でしかなく、其処まで強い物は配られません。本当に希少な武器については、クエスト等で手に入れてきた材料を元にして、ジグさん等に作ってもらう、というイメージです。
 その中でもディオシリーズは、現実世界においてもエクスキューブにされる方が大半だと思います。ラムダシリーズは、強くなるまでのつなぎとして使われた方が多いと思うのに。

「ラムダは愛着が生まれる。しかしディオになると他の☆10が強いからすぐキューブ行き(そもそも☆10として登場が遅すぎた)。ウェポノイドになってラムダと兄弟な設定ならこんな風になってしまうんじゃなかろうか」
 ――それならうちのツミキは引き取りそうだな。自在槍とかなら使いそう。
「なら書きますか、明日」
 ――おいぃ!?
「今旬の擬人化ゲームをしてるのだし丁度いいよねうん」

 ――今が、昨日の明日です。そして何かできあがってました。びっくりだね。

 この物語を通じて、何か感じていただけるとありがたいです。何も感じなくても決して咎める気は微塵もないのですがね。
 それでは、またの物語でお会いしましょう。


※:スペシャルサンクス:ウェポノイドに首を傾げる作者二人に丁寧に教えてくださった某氏、大会心から応援しております。
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テーマ : ファンタシースターオンライン2
ジャンル : オンラインゲーム

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 PSO2世界を旅する、気楽な放浪者の綴り草です。
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