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ハルコタン動乱

 なんとなく思いついたので投下。




「――合同訓練?」
『そうじゃ』
 不思議そうに首を傾げるマトイの前で、灰の神子・スクナヒメは実に素晴らしいと言わんばかりに大きく頷いた。
 ハルコタンの街角の一角ーー団子屋の軒先。良い天気なのでダーカーを殺しに来たヴァントとマトイが、休憩ついでの甘味を楽しんでいた所に、同じく甘味を求めてきたスクナヒメに出会った中での会話である。
『ここの所、白の民に腑抜けた奴が増え過ぎての。元々腑抜けなのが、あーくすとやらが黒の民を退治してくれるからと更に酷い腑抜け具合になっておってな。どうにかせねば、と思っておったのじゃ』
「で、それがどうしてアークスとの合同訓練に繋がったのか教えろスクナ。あぁ店主、熱燗もう一本」
「ヴァント、飲み過ぎだよー」
『酒がないと生きてはいけぬのか。ほれ、以前お主が言っておったではないか。お主達の仲間も最近腑抜けしか居らぬと』
 みたらし団子をくわえながら、スクナヒメが呟く。
 其れに、ヴァントは残った酒を煽りながら、
「あぁ、確かに言った記憶はあるな」
『そうであろう。わらわの側でも準備はしよう、丁度よい機会ではないか?』
「……ヴァント、どうしよう?」
「まぁ、悪くはないだろ。俺からシャオには話しとく。……食うか?」
「ありがと! ――おいしいね、これ――大丈夫だよ、スクナヒメ!」
『……お主等、本当にツガイではないのか?』
「クーナさんも居るから違うってば」
「悪いがノーコメントだ」
『……まぁ、よろしく頼むぞ』


 その会話から、数日が経過した後。
『――ここを、こうすれば良かったかの? まっこと難解な文字よの。おい、ヴァント。聞こえておるか?』
「ん? その声は、スクナか。どうした」
 自室でウイスキーを傾けながら、通信先から飛んできた声に返答。隣の部屋でどんちゃん騒ぎを繰り返すリリィやらユキナミやらの声を煩わしく思いながら。
 仕事の関係上、通信による連絡は頻繁にあれど、この通信先から連絡が来るのは殆どなかった――というか、コトシロに渡したものの筈だが。
『おぉ! ヴァント、通じたか!』
「……何だ、いきなり」
『いや何、少し確認したいことがあっての! 確か共闘祭は、明後日からの筈じゃのう』
「んー……あぁ、一応その予定でレギアスには話を通してあるな」
 スケジュール帳を開きながら、通信の向こうに返答する。スクナヒメが持ちかけてきた話は主にヒューイが乗り気になって、レギアスを口説き落とした結果、共闘祭、としてかなり大々的に行われる次第となった。
 故に、一週間も経過せぬ時点で開催が行われることとなり、その方向で話は詰めていたはずだが。
「何かあったのか?」
『白に赤の文様の竜と、黒に赤の文様の竜が暴れておるのじゃが……あれは、お主等の仕業かの?』
「――待て。もう一回、言ってくれ」
『白に赤の文様の竜と、黒に赤の文様の竜じゃ。随分痩せておったぞ、あの薄気味悪い連中を食らっておったが』
「……すまん、スクナ……其れは、俺達からみても、敵なんだが……」
『おぉそうか、お主等の――なんじゃと? わらわはてっきり――ん? あぁ、少し待て』
 ――今度はなんだ、何が来る。
 経験上、ろくでもない事が起きた直後に発生する事は、同じくろくでもない事だと相場が決まっている。
 ヴァントが思わず頭を抱えた、直後。
『……ぁ、……! ……!!』
『――わからん』
『スクナヒメ様、その者はどうやら通信機とやらに喋っているようですぞ』
『ふむ、それなら』
『――なぁなぁ、それ兄ちゃんらと話せるやつやろ? わいの分家に置き忘れてきてん、貸してくれへんか!?』
「は?」
 思わず通信を叩き切りたくなって、最後に残った理性で押し止める。
 直後に、正確に聞こえてきたのは、余りにも特徴的に訛った声――
『おう、兄ちゃん! 兄ちゃんやろ、これ! すまんなー、ちぃと助けてくれへんか?』
「――待て。何故お前が居る、カブラカン」
 惑星ウォパルに居る筈の知り合いの声。
『んー、なんか竜巻が来たと思ったら、うちの近所の奴らと一緒にここにおったんや。悪いけど、助けてくれへんか?』
「待て。お前達が居るなら、まさか――」
『あーそうそう、どうも血の気の多い奴らも連れてこられたみたいで、ちっと暴れとるわー。其れになんか、機械みたいな奴もおるでー。後狼やっけ? 食われそうで怖いねんけど』
「――――」
 絶句。最早、如何なる言葉を紡ぐこともできなかった。
『おい、兄ちゃん? 聞こえてるか――っとぉ!?』
『ヴァントよ、聞こえておるかー。ともかく、わらわ達も何とかしてみるが、アークスもはよぅ来い。少し早くなっただけじゃ、演習相手が色々増えて良しとしようではないか、のぅ?』
「――準備をしたら向かう」
『うむ、早くするのじゃ――む? なんじゃあのけったいな虫は。随分でかいのぅ』
『あれは、カブト虫でしょうか』
『兄ちゃん、悪いけどはよきてくれやー。なんやでかくて汚い虫みたいなん来おったわー、踏まれる前に助けてやー』
「――即座に向かう」
 ブツリ、と通信を断絶して。
 ヴァントは一人、深く深くため息をついて、傍らの瓶を手に取った。
「――――面倒くせぇ」
 思い切り本心をぶちまけて、一息に其れを傾けた。
 半分程度残っていた瓶を空け、部屋の片隅のゴミ箱に放り込む。
 そのまま近くに置いていたカグダチを手に取って、ヴァントは隣室――リリィ達が居る部屋の扉を開けた。
「ん、マスターどったん?」
 何かのゲームに熱中した後なのか、ボードゲームを散らかしたまま雑談していたらしいリリィが、缶ビール片手に振り返ってくる。
 他にいたユキナミやリユイ、マンルーンに何故か朱雀が一斉に振り返ってきて。
 一様にざっと後ずさった。
 その反応を無視して、ヴァントは全員へ半眼を向けるとともに言い放った。
「……お前等全員、ついてこい。大掃除だ――ハルコタンのな」

 その日。
『かかかかっ! 無茶苦茶しおるわ、のうコトシロよ!』
「ヴァント、すまんがもう少し抑えられないか。家屋が壊れ――」
<キシャァァァァァ!!>
「次はそっちか、死ねェェェッ!!」
「落ち着いてよマスタァァァ!!」
「兄ちゃん危ないなぁ、なんか」
「そだねー、あ、カブラカンさん、カマロッツさん見つけたよー。リユイと朱雀さんが保護してるー」
「ホンマか! ありがとなー、ユッキーはん!」
「次はどいつだァァァァ!!」
 これまでにない勢いでハルコタンの町並みが破壊され、同時に怒濤の勢いで死骸の山が建設されていったという。

 尚、共闘祭は予定より一日早く始まったが、前日入りしていた者達はスクナヒメとの宴会場で全員眠りこけていたという。



 あとがき。
 今回の期間限定見て、なんか思いついた。
 実際、演習のつもりがエライことに、ってのはありうると思うんです。
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