スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

少し遅れたクリスマス(2)

 おわりゃしねぇ(;; )
 年末最後の投稿になりますが、どうぞ。来年もよろしくお願い致します。





「ぴぴー♪」
 キャンプシップーーヴァントから使って良いと教えてもらった一機――に乗り込んで、ナベリウス・凍土エリアへと移動中。
 外からはゴウゴウと雪の音。いつもより大きいな、とは思うけどその程度。
 ――クーナ、喜んでくれるかなー。
 沢山の雪を、この船に積んで持っていけば、きっとなんとかなると思う。
 キャンプシップは大きい。ラピピが今いる場所以外にも下の方に戦闘機を収納できる部屋もあるから、ハッチを開けっ放しにすればラピピの両手で何往復するよりも効率良く運べるはずだ。
 恩人であるクーナに悲しんでほしくないし、ヴァントにも喜んで欲しい。
 ――恩返しだ、頑張ろう!
「ピィッ!」
 心で、二人への恩返しを誓い。
 外へと飛び出したラピピを出迎えたのは。
 ――ゴォォォォッ!!
 欠片の情けもない暴風雪であった。


『ということで、ナベリウス上空の寒波は森林エリアまでは影響を与えませんが、元々寒冷な凍土エリアは猛吹雪に見舞われるでしょう』
「……ロジオさんって、地質学者の筈よね? どうして惑星天気予報まで担当してるのかしら?」
「惑星リリーパの生態や気候についても報告してたらしいですから、専門が地質なだけで惑星に関することは全て調査対象にしてるんでしょう」
 なんて会話を聞きながら、リユイは椿が普段使っている部屋でマンルーンと調理をしていた。
「これで良いわ」
「もう火を弱めるの?」
「ええ、後はパイ生地に注いでオーブンの方で」
 丁寧な手つきで料理を続けるマンルーンに指示を出しながら、リユイはそっと笑みをこぼした。
『リユイ……お肉料理教えて! 椿もマスターフーナもマスターも皆あんまり食べないから、殆ど作ったことないのー!』
 数日前に涙目で頼み込まれたときには吃驚したけれど、元々筋がいいのか、かなり丁寧な料理に仕上がりつつある。同時にリユイはマンルーンから美味しい野菜料理を教えてもらい、少し離れたテーブルでは椿が一人お酒のおつまみの準備をしている。
「流石に和食よりはマリネとかの方が良いでしょう」
 リユイもマンルーンもマスターがお酒を飲めないので四人分のおつまみを一手に引き受けてくれるのは非常に助かる。また見た目も他の料理に合わせて飾り切りまでして、来る依頼全て断る程没頭している。
「でも、随分沢山スパイスがあるのね。調理器具も、これは何?」
「ああ、ペッパーミルっていう胡椒挽きよ。マスターのもので、ソースとかパスタに使えるの」
「へぇ」
 プシュー。
 正に今話題に挙がってきた部屋の主の個室へ続く扉が、開いた。
 確か今散歩と言ってどこかへ行っているはずなのに。リユイは勿論マンルーンと椿も気配が鋭くなり、
「ピィィィィィィィ……」
「「え?」」
 ガタガタブルブルと震えた濡れ鳥が、涙目で部屋に入ってきた。
「――ラピピー!?」
 椿が即座に包丁を置いて駆け寄る。マンルーンはすぐに止めていたスープ鍋の火をつけ直し、リユイもマグカップを棚から取り出した。
「ピピィッ」
「ラピピ、大丈夫?」
「ピィ……」
 部屋の主のブランケットがかけられ、あったかいスープの入ったマグカップが手渡される。それでようやくラピピの震えは収まった。
「どうしたの、一体何があったの?」
「ピ、ピィ」
 普段スケッチブックで意志疎通を行うが、流石にそこまでの元気はないのだろう。ラピピは椿に向かって必死に訴えた。
「凍土? え、その格好で?」
 何故翻訳出来るのかはわからないが、それ以上に凍土という言葉にマンルーンと顔を見合わせた。
 凍土は文字通り常冬の土地、ここ数日は猛吹雪でアークスのほとんどが近寄ろうとしない。そんな中で、確かにヌクヌクとしてあたたかいけれど、羽毛だけで行動しようというのは無茶である。
「ピィィィィィ……」
「あ、それなら――」
 その後、ちょっとリユイの殺意が椿に突き刺さった。

 ブランケットにタオル、ドライヤーで乾かして貰った身体に、赤いフワフワのマントみたいな服を着せて貰う。
「どう、サイズ合ってる?」
「ピィ♪」
「何あれ何であんなの作れるの私マフラーだって間に合わなかったのに何でずるいずるいずるい」
 作成者である椿の問いかけに頷く。
 何だかリユイが怖いけれど気にしちゃダメだとマンルーンに言われた。
「ピピッ!」
 書き書き書き。
 手書きノートにありがとうと書き残して。
 ラピピはもう一度、凍土へと参戦するため部屋を飛び出した。


「――ラピピ、どうしたのかしらね」
 あっという間に姿を消したラピピに対する疑問を、リユイが不思議そうに口にする。それに、マンルーンも小さく頷いて、
「凍土に用事があるみたいだけど……」
「この吹雪く時期にわざわざ出歩く、というのは想像できませんね」
「まぁ、私達はとりあえず料理を続けましょう。何かあったらまた帰ってくるだろうし」
 そういって会話を締めて、料理を再開――
 する直前に。
 パシュ、と扉が開いて。
「――ラピピ来てない!?」
 肩で息をしながら、リリィがそう飛び込んできた。
 飾り付け途中らしく、モールを身体に絡ませたまま。
「……さっきまで居たわ。随分寒がっていたみたいだけど、どうしたの?」
 リユイが代表して答えると、彼女の顔から血の気が引いた。
「――うっそぉ、マジか。えぇい、マスター!!」
「え、リリィ?」
「マスター、今ナベリウスっしょー! ちょっと面倒な事になってるの、今――」
 問いかけにも反応せず、通信――恐らくは彼女のマスター、ヴァントと――で会話を開始。随分と切羽詰まっているようで、声はもう怒鳴り声に近かった。
 ――何があったのかしら。
 疑問符を浮かべながら、リユイはマンルーン、椿とともに話に耳を傾けることにした。
スポンサーサイト

テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

コメントの投稿

非公開コメント

新年のご挨拶

 新年あけましておめでとうございます。

 大きいだけの鈴蘭です。
 新年のご挨拶をコメントにて失礼致します。
 こちらにしたものか、ちょっと迷いましたが…;

 コメントはしておりませんが毎回読ませて頂いております。
 文才がない鈴蘭からすると…ただただ感心しきり。

 更新楽しみにしておりますので…がんばってくださいな。
 より良い一年がヴァントさんに訪れますように。

 また良ければ、遊んでやってくださいな。
 

Re: 新年のご挨拶

<鈴蘭さん
 新年明けましておめでとうございます。
 わざわざ挨拶の方ありがとうございますー♪((ノ・・ノ))♪
 毎回読んでくださってるとは何よりですよー、自分の方は余り自信ないままに書き連ねてるので……楽しんでくださっていたら何よりです(・・;)
 鈴蘭さんのブログの方も日参してますよー、面白く深いお話、今年も楽しみにしております(・・)ノ
 こちらこそ、またよろしくお願い致しますー。
プロフィール

ヴァント

Author:ヴァント
 PSO2世界を旅する、気楽な放浪者の綴り草です。
ツイッターやってます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。