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対抗戦が水曜日だけ開催されなかった訳。

 対抗戦をベースに書いてみました。
 物語は続きから、どうぞ。



「――ッハァッ」
 自室。
 誰もいない状況の中、一人ロッキングチェアに腰掛けたまま、ヴァントはウイスキーグラスを空にした。
 ――いい加減にしろよ、この状況……。
<通達。現ラウンドの――>
 スピーカーから流れ出す、どこぞのマスコットの偉そうな連絡事項。思わずグラスを砕きかけて、自重する。代わりに、追加のウイスキーを注ぎ込み、飲み干す。
 アークスシップ、対抗戦――マザーシップの演算により、ここ数日連続で一定箇所に一定以上の緊急状況が発生すると予測され、其れを船団同士での戦闘力測定や、船内部の協調強化に利用しようとする思惑から開催された、緊急状況を逆手に取ったビッグイベント。
 裏を返せば。
 相当な頻度で緊急警報が発令され、其れの集結に全アークスが飛び回るということ。
 はっきり言って、面倒。かつ、途方もなく疲労が貯まっていく。されど、緊急状況であることに間違いはなく、手を抜くことも難しい。放置して戦場が悪化すれば、アークス側の被害も大きくなりうる。
 ――もう少し頻度が少なければ。
 ため息をついて、背もたれに体を預ける。
 三時間に一回、ひどいときは二時間に一回。これほどの頻度で緊急警報がかき鳴らされては、疲労が貯まっていくのも当然だ。
 されど、弱音は吐けぬ。吐いて緊急がなくなるならば、喉が枯れるまで吐くけれど。
 力なく、三回目のウイスキーを注いで――
<ヴァント、いるか?>
「あぁ?」
 急に飛んできた秘匿通信に対して、苛立ちに任せて返答する。通信向こうで若干怯む気配がしたが、知ったことではない。
「何の用だ、ヒューイ。人の休憩時間を奪ってまで連絡しなければならない事なんだろうな、それは」
<其れはすまんな! だが、少し急ぐ話なんだが>
「言ってみろ」
 仮にも六芒均衡に対して話す言葉ではないかもしれないが、最早どうでもいい。向こうも咎める様子すらない。
<次はどうやら惑星ウォパルらしいんだが、余りにも数が多すぎてな。疲労も溜まってるだろうし危険という事で俺が先に入ってある程度削ろうかと思うんだが……よければ、手伝ってくれないか? 俺だけでは手に余る>
「――ほう。つまりお前は、俺に疲れ果てろと言いたいのか」
<いや、お前が全緊急事態の手助けをしてくれているのは知ってるんだが、お前レベルの奴じゃないと……>
 言い淀むヒューイに、嘆息する。
 彼がこうまで話すという事は、本当に不味い状況ではあるのだろうから。
 かといってこのまま行ってしまえば、疲労が貯まりすぎて遠くない先に倒れそうだ。
 緊急事態さえ無くなってしまえば――
 ――……ん?
 ピン、と。一つ、取れうる手段が有ることに気がついて、ヴァントは口元を歪めた。
「――条件がある。もう一人、加えろ」
<ん、構わないが……大丈夫なのか?>
「あぁ」
 人に見せるべきではない笑顔を浮かべて、ヴァントはそう返した。




<クーガ>
<……ゆ?>
<散策にでも行かないか?>
<お散歩?>
<そう、散歩だ。そして行く惑星は決まっているが、リーダーはお前だ>
<リーダー!? 上、上?>
<――あぁ、お前が俺より偉い。どうだ、来るか?>
<行く!>
 その通信を行っていた両者は、それぞれとても良い笑顔――人に見せれる物とそうでない物――を浮かべていた。


「あれ、くーちゃん? どこに、フル装備してどこ行く気マジで!?」
「――リーダー」
「いやそんなキリッってせんでも、ってマジどこにー!? 対抗戦前だよー!?」
「護衛、任せた」
「あ、はい。お気をつけて」
「ゆ」
「……行っちゃいましたね。どうしたのかしら?」
「考えても無駄ですよ、きっと」



 数時間後。
<通達。本日予定されていた対抗戦だが、起こりうると判断されていた緊急事態がなくなった為中止とする。各員休息を取り、次に備えるように。以上>
 アークマの遺憾そうな声と共に、そんな連絡事項が全シップに響きわたったそうな。



 ――あとがき。
 今回の対抗戦、正直スケジュール詰め込みすぎですよねー。いい加減疲れるわ。
 という事で書いてみました。発案は相方ですが。故に相方の方とリンクしております、コチラは相方の作品より後になりますのでよろしければそちらもどうぞ。




 ――追伸:その時ウォパルで何が有ったのか。

「いよぅ、ヴァント! 遅かったじゃ――ん?」
 ウォパル・キャンプシップ前で陣取っていたヒューイが不思議そうに首を傾げるのに、ヴァントは何ら気にすることなく片手をあげて応答した。
「何、準備に手間取ってな。クーガだ、何度か会ってる筈だな?」
 そうして、隣の少女を彼へと示す。今回の鍵である、ある特性を持った少女を。
 ヒューイが面倒を見る六芒均衡の少女と同じか、それより小さいかもしれない少女。ただ、同じくらいの筈なのに随分落ち着いた印象――に見えるだろう。ヒューイからすれば。
 何故、とヒューイは若干気遣うような眼を見せ、クーガと視線を合わせた。途端、クーガはヴァントに隠れるように下がった――人見知りであることは話さずとも良いらしい。
「会ったことはある。噂も聞いた気がする。ただこの子も、連戦で疲れてるのでは――」
 気遣いを示すヒューイの言葉に、クーガは数秒ほど彼の顔を見て、やがて少し前にでて、頭を下げた。
「よろしくお願いします」
 その姿は、健気に見えただろう。ヒューイは苦笑している。が、ヴァントには分かっている。
 ――あぁ、こいつ対抗意識出してるな。
 弱くなんかないし、足手まといにもならない。そう全身で示しているようにしか見えない。
 だが、そこには敢えて触れない事にする。その方が都合がいい。
「クーガ、そんなに畏まらなくて良いぞ。こいつは六芒均衡だがフレンドリーな方が良いらしいからな」
「……ほんと?」
 キョトン、とクーガが首を傾げる。
 子供らしい喋り方に少しは心を開いてもらえたと判断したヒューイが僅かに微笑んで、そうして大仰に腕を振り上げた。
「その通りだ! 少女よ、敬語など気にするな!」
 それを、クーガはやや冷めた目で見る。ヒューイと遭遇した、他のアークス同様に。
「ゆー……ゆ」
 あれ、と今度はヒューイが首を傾げたが、それより先にクーガが納得したように頷いた。
 そして、 
「……もう行く?」
「ああ、好きにしろ」
 菩薩のような笑みを浮かべながら、ヴァントは少女を促した。
「ゆ!」
 パタパタパタ、と少女が即座に駆けだしていく。
「え、おい!?」
「よし行くぞ、ヒューイ。遅れるな」
「ちょっと待てヴァント、あの少女が先頭なのか!?」
 その言葉に応えることなく、ヴァントはクーガの後を追って歩きだした。


 ――何かがおかしい気がする。
 彼らしからぬ優しげな笑み、先頭を嬉しそうに歩く少女。普段よりも激しい頻度で襲来する敵性存在を撃破しながら、ヒューイは心の中で呟いた。
 ――あの少女は確かに強い、思っていた以上に動きが良い。だが、ヴァントは何故、この場所に彼女を?
 思考に入りながら、ふと気づく。
 周囲のフォトン濃度が、酷く高まりつつある事に。
 ――PSE? 三人しか居ないのに?
 対抗戦が開催されているためアークス全体が疲弊しており、現状、ウォパルにはヴァントと少女、ヒューイ自身の三名しか居ない事は理解している。
 それにしては、余りにも早すぎ――
 ――……待て。
 気付く。そして、思い出す。
 かつて、オペレーター達の間で話題となっていた、とあるアークスの話を。
 ヒューイは知っている。そのアークスが、なんと呼ばれていたのかを――
「――ヴァント。『くーちゃん』と呼ばれているアークスを知ってるか?」
 隣で大剣を振るっていたヴァントの動きが、止まった。
「――お前も、もう知り合いだろう?」
 答えたその横顔は、実に愉しそうに歪んでいる。視線は、ウキウキと杖を振るう少女へと。
 其れに、はっきりと確信する。
「ま、さか……彼女、が……!?」
「あ、来た」
 正解、とでも言うかのように。
 少女が、世界を見上げて呟いて。
「――エマージェンシーガールゥ!?」
 ヒューイの叫びに応答するかのように。
 虹色の光が、ウォパルの空を駆け上った――

 エマージェンシーガール。歩く緊急事態。
 様々な呼び名で知られるその少女だが、そう呼ばれるようになった所以は、緊急事態を引き起こす事と、もう一つ存在する――
 PSEバースト。偶発的にしか発生しえないフォトン粒子の大活性。其れを、高確率で引き起こす事。
 そして、バーストが起きるということは、そこにフォトン行使者が存在する証明になり、周囲一体の敵性存在が全て襲いかかってくるという事に繋がる。
 この、異常な緊急状況にあるウォパルにて、そんな物が起きたらどうなるか。
 結末は、容易な話であった。

「ヴァントォー?! お前どうするんだこれッ! ウォパル中の敵を呼ぶ気かぁぁぁ!」
 使い慣れつつあるワイヤードランスで必死に対応するヒューイの叫び。
「来やがれ雑魚共、まとめて刺身にしてやるァ!」
 砂浜ごと一区画の敵性存在を塵へと変貌させながら、ヴァントは高らかに吠え猛り。
「んー、あっち気になる。洞窟の中、海底?」
 周囲に沸く敵性存在を確実に倒しつつ、気になる場所をピックアップするクーガの独り言。


 アークス時間にして未明、ウォパルで発生した最大規模の緊急事態の結果、大半以上の敵性存在の消失が確認され、その日演算で起きるとされていた筈の緊急事態は何もかも全て霧散した。



 ――追撃のあとがき。

 モデルが引き起こす事象もわりと似たようなもんです。
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