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Impossible world~ある結末~

 Possible world から繋がっていく、存在しうる物語。
 本文は続きから、どうぞ。
 注意:かなり長いです。覚悟の上で、お読みください。




 ――大好き。
 たった一つ、残された言葉の。
 少年の最後、全てを知って。
「――そっか」
 世界に遺された少女は、独り、そこにいた。
「……なんで、こんな」
「ナンデ? だっテ、ユキナミさんがいない世界なんて、否定スル世界なんて――いらないよ?」
「――そんな事のために、あいつがあんたを生かした訳じゃないのは、分かってる?」
「彼がイナイ。生きてナイ、存在しナイ。ナイだけの世界。価値もナイの。置いていかれたから、追いかけなきゃアの日のようニ。彼を生かシテくれなカッた世界を、壊した後デ――お話は終ワリ、これでオワリ。ソレで始めよう? アナタが守るか、私がコワスか」

 少女は、笑っていた。話しながら、笑っていた。

 笑いながら、泣いていた。




 時は、巻き戻る。

「――ただいまー」
「ぴぴぃ」
 自室に帰りついた瞬間に飛んできた声。
「はい、お土産」
 出迎えてくれた同居者に買ってきた果物を一つ放り投げながら、ついでに荷物も近場にぶん投げる。どうせ軽い物しかない。
 ――あんのゴミ屑野郎いい加減になんとかしたいなー。
 服を脱ぎ捨てながら寝室の扉を開き、下着姿でベットにダイブしながら、内心で吐き捨てる。考えているだけでイライラしてきた。
 リユイの入院している部屋へ、性懲りもなく現れては、記憶消去から次のアークスへ登録を変更させようと叫んでいる男――かつてのリユイの教官かつ、現在のサポートパートナー育成所、副所長。こないだ腰を抜かして逃げ出した無能の分際で、恥という概念すら理解できないらしい。
 サポートパートナーは道具であると早々に明言し、周囲を其れに賛同する腰巾着で固めていると聞く。
 いや、今は道具として扱うべきだとする声が多くなっている、と見た方が良いのだろうか。
 ――サポートパートナーの人権、ねー。
 内心で呟きながら、軽く伸びをする。
 サポートパートナー。文字にして、アークスの活動を手助けする相棒。されど、立場は対等ではなく、あくまでもアークスが主である。
 求められる作業はクエストの手伝いと共に、アークスに代わっての探索任務や、文書による作業も含まれる――最後のは、自分の仕事もまとめてマスターか知り合いに放り投げるリリィには当てはまらないに等しいが――が、基本はマスターの活動範囲に留まっている。
 活動内容から考えてしまえば、アークスが存在しない限りは不要の長物とも言われかねない。
 実際、アークスの中にも道具と同様に扱っている者も存在する。マスターの存在が絶対であり、疑問を口に出そうとマスターが白と言えば黒であれ白とする。八つ当たりにも、もってこいな相手だ。むしゃくしゃして殴ろうと、蹴り飛ばそうと、文句を言う事もない。
 クエスト中に見かける時も、今ですらたまに有って――大抵即座にアークスの方を殴り飛ばして、サポートパートナーはメディカルセンターに放り込んでいる。そういった目に遭っているサポートの殆どは精神的に鬱状態に有ることが多いから。
 サポートパートナーがアークスに反旗を翻すというのも珍しいらしいけれど。しかも他人の。
 其れはきっと、ヴァントが教えてくれなければ、リリィ自身もが受け入れていたに違いない光景だから。

 ――懐かしいなー。
 今のマスター、ヴァントと出会う原因になった出来事。
 引き合わされた小太りの中堅アークス。名前は忘れたが、小型チームのマスターだと紹介もされた。
 あの時までは、アークスを助け全てに従い行動する、という事が世界の全てだと思っていた。
 チームリーダーのサポートに選ばれたことを、光栄だとすら思っていた。
 ――性欲解消の道具だなんて思いもしなかったわ、ホント。
 チームの部屋に連れ込まれて、服を脱げと言われたときは思わず正気を疑った。それから、数人の男に囲まれてパニックになって――思わず、その場から逃げ出して。マスターの命令に違反したことと、それ以上に何もかも従うのが、どんな理由であれそうなのか、頭の中がぐちゃぐちゃになって。
 訳も分からないまま、ナベリウスの奥地まで逃げ込んで――放浪中のマスターに拾われた。
 ――そういや今と余り変わってないや、マスターの行動原理も何もかも。
 過去を思い出しながら、くすりと笑う。
 彼は、夕食の丸焼き肉を作りながらの片手間の会話で、サポートとして叩き込まれてきたありとあらゆる価値観を崩壊させてくれた。
 やれ、全て従うのは人形以下だ、とか、自分で動くこともできないでくの坊が何の役に立つ、とか、立ち向かえずとも逃げることもできない奴に背中など預けられるか、とか。
 正直、かなり無茶苦茶言ってた気がする。自身も其れに倍程度言い返していた気がする。
 それでも、彼は、一個の女性として扱ってくれた。紛れもなく命を持つ者として、道具ではない人として、扱ってくれた。見ず知らずのサポートを、人として見てくれた。
 そして、夜が明けた頃に、
『なら、そこまで言うならさぁ、あなたが私のマスターになってみせてよ! 口先じゃ幾らでも言えるよね、もうアークスからの命令が下ってるのに、どうすればいいって言うのよ!!』
 最早自暴自棄になりながら吐いた八つ当たり。泣き叫んだ記憶の欠片。
 八つ当たりを受けて、されど、彼は平然とした顔で。
『分かった。そのゴミの名前を教えろ』
 いや、平然というのは少々違ったのかもしれない。言葉の端に、凄まじいまでの殺意が溢れだしていたから。
『――――って奴』
『お前は此処で待っていろ。あぁ、ついでに酒でも飲みたければ飲んでいていい』
 言下、簡易型テレパイプを展開して、彼が即座に姿を消して――戻ってくるまでの半日の間に、悪態をつきながら三升程飲んでいた、と思う。
『戻ったぞ――おい待て、どれだけ飲むんだお前は』
 報告より何よりも先に突っ込まれて、ケラケラ笑っていた気がする。多分。
 出ていく前より明らかに血糊が増えていたが、傷一つなかった彼は、宣言通りに前アークスとの契約を無効にして、新たに契約を結び直してくれた。
『まぁ、改めてよろしく頼む。リリィ』
 そうしてその時が、初めてアークスから名前を呼んで貰った瞬間だった。

 彼のサポートになって結果的に、喪女であり昼間っから酒を飲む自堕落パートナーになってはしまったが、間違っても口には出さないと思うが――マスターには、この世界の誰よりも感謝しているし、幸せになってほしいと思う。
 想像すら出来ないとはいえ――マスターの死なぞ、考えたくもない。
 ――実際、私でさえ、こうなんだ。サポートとして、半分失格な自分ですら。
 寝返りをうちながら、白亜の世界で眠る少女を思い直す。
 ユキナミとリユイ――二人がどうやって出会ったのか。
 何があったのか聞いたことはないが、命を救われたと言っていた。其れに加えて、あの両想い度合いだ。
 彼女の衝撃は、きっと、自分の比ではないだろう。
 いつかは、他の誰かのサポートとして立ち上がらなければいけないのかも知れない。そこで記憶を消してやり直す事を選ぶかもしれないが。
 己を傷つけても記憶を守り抜き、ユキナミの事を忘れなかった彼女が、その選択をするとは思えない。
 だから、今は時間をあげたい。彼女の心が安らいで、自分で歩き出せるようになる、その日まで。
 ――こーいう事をなんっかい説明しても理解できてねぇんだろうなあのおっさん……。
 実際、そうした特別扱いが許されるレベルの貢献はしてきた筈だ。彼も、彼女も。
 あの男に強制記憶削除の権限はない。というより、サポートの記憶削除は本来、マスターかサポート本人が選ぶもの。其れにも関わらず、アークスという組織の命令も携えることなく、毎日毎日リユイの病室の外まできて大演説ぶって記憶を消せとひたすら叫ぶのだから。
 ――恨みでもあるんだろうなー、其れとも性格か。
 考えた所で、あの男が邪魔な事には変わらないが。
 其れに、何も出来ない状況で思考だけ働かせても、疲れるだけだ。
「らぴぴー、今日はこのまま寝るー。ご飯はいつもみたいに椿のところ行ってきてー」
「ぴぴっ!」
 威勢のいい返事と共に、パシュ、と遠くでドアが開く音。其れを確認してから寝室をロックし、リリィは改めて温もりの内側へ潜り込んだ。




 ――あの忌々しいサポートがぁ……!
 時計の針が一日の終わりを示す頃、じわり、と痛んできた古傷を押さえながら、男――サポートパートナー育成所の副所長は内心で吠え猛った。
 訓練中に、アークスでもあった自分に対して明確な敵対行為を持った攻撃を繰り返した欠陥品。奴は記憶を消して、従順な人形にしなければならないと、常々考えていた。
 沸々と煮えていた怒りを発散する最高の条件が整ったというのに、アークス職員の――それもサポートパートナーにとっての育ての親とも言える、育成所の職員を足蹴にする不良品ども。
 メディカルセンターの連中もそうだ。人に向けて火を放った欠陥品を、同じ職員である奴らが何故庇うのか。
 ――所長は役に立たんし……!
 どれだけ危険だと伝えても、鼻で笑って其れで終わりだ。部下の意見を聞こうともしない。危機管理の薄い上司を持つと本当に嫌になる。
 このままでは、どれだけ時間が無為に過ぎるか分かった物ではない。
 ――荒っぽい手を使うしかないか。
 一つ頷き、男は幾つかの方面に連絡を入れた。




 ――大丈夫!?
 記憶にある、彼との初めての会話。
 サポートパートナー育成所、卒業式の最終訓練エリア――ナベリウスの森に突如として出現した、ブリアーダとダガンの群れ。自分以外の全員が殺されて、自分も死ぬかと思い倒れた時に、必死の形相で助け出してくれた銀色の少年。彼はそのまま周囲の全てを殺して、私を助け出してくれた。
 ――僕のサポートパートナー? 初めまして、よろしくね!
 助けてくれた彼と交わした、二度目の会話。再会を何よりも楽しみにしていたのに、忘れられていたことに愕然として、怒りすら沸いてきて。
 暫くの間は、事務的な話し方になっていたと思う。あの時は迷惑をかけてしまった。
 ――逃げろなんて言うなぁっ!
 足をやられて、倒れてしまった時。敵の強さに、必死に逃げて、と叫んだ時。
 彼は、本当に怒った声で叫び返してくれた。
 二人して殺されるところだったけれど――自分の事を思ってくれたのが、何よりも嬉しかった。
 ――わ、美味しそ! いつもありがとー、リユイ!
 毎朝の朝食に欠かすことなく、ありがとうと伝えてくれる。美味しそうとも言って、実際に美味しそうに食べてくれる。
 時々人数が増えたりもするけれど、何よりも彼が喜んでくれることが嬉しいから、何人だとしても頑張れた。
 ――うん、気をつける。置いていってごめんね。
 ベイゼに彼が飲み込まれて遠くに運ばれてしまった時。何もかも無視して追いついて、中でアロガナーダと殴り合ってて――何をやったか覚えてないけれど、全部終わって泣きわめいたことは覚えている。
 彼は置いていった事を謝ってくれた。気をつけて動くって、置いていかないと。
 けれど。
 ――大、好き――
 彼は、そう言って、逝ってしまった。
 光の中に、溶けて、消えて――




「――んー、ふぁぁぁ……」
 のそり、とベットの中から這いだして。
 リリィはやる気なく、後頭部に手をやった。
 軽く頭を掻きながら、壁際の時計を見やる――午前の終わりを示す時間が、そこにはあった。
 ――寝すぎた。
 内心で冷や汗を流しながら、とりあえず寝室のロックを解除する。脱ぎ散らかした服は見当たらなかった――ラピピが片付けてくれたらしい。
 彼の姿も今は見えない。どうやら、椿の所にでも行っているようだ。
 ――おっかしいなー、いつもなら椿かマンルーンが起こしに来てくれてたはずなんだけど。
 ついでに朝食を作ってくれる事も多い。というかほぼ毎日。そう思って冷蔵庫を見れば、一人分だろうサンドイッチ。昨夜はなかったので、ひとまず食事だけは用意してくれたらしい。起きなかったと諦められたのか。
 こんな時間まで寝たのは久しぶりだ。朝食以前に昼食の時間だし。誰もいない事は少し気になるが、今は何より目の前の空腹が最優先だ。
「さーて、今日は何しようかなー」
 ぐーっと、思い切り伸びをしながら。甘い匂いのする生クリームと新鮮な果物を使ったフルーツサンドに齧り――つく前に、リリィは其れに気づいた。
 部屋の入り口近くにある、サポートパートナー用の端末。リユイがマンルーンがよく使っている所を見る――リリィ自身は殆ど触った事がない――其れの一部が、チカチカと点滅している。
 近寄って、軽く操作してみる。途端に、端末の画面が切り替わって、一つの指令書が掲載された。
<サポートクエスト――リリィ:
 ナベリウス奥地にて確保されるナベリウス結晶の数が不足している。結晶の50個の納品を命令する。速やかにクエストを完了せよ>
「あ、なにこれ? うざってぇ」
 端末に映し出された情報に、即座に顔が歪む。
 サポートクエスト――マスターから依頼される其れとは別に、アークス本部から独自に命令されるクエストである。
 基本的にはサポートの仕事ぶりを確認する為程度でしかなく、難易度はかなり容易だ。
 が、大抵は緊急的な命令を受け取り、速やかにこなせるかが重視されるため、クエストの終了時間も比較的早い。要するに、すぐ動け、という事だ。
 ――こないだサボったしなぁ……。
 このクエストについては、受けることを拒否することは原則できない。
 見ていなかったで押し切れなくもないが、二度も三度も続くとやばそうだ。
 届いたのは今日の朝七時。期限は今日中。今から向かえば、五時間も有れば終わるだろう。
「しゃーない、行きますか」
 フルーツサンドの次はエッグサンドに手を伸ばし、
「……だりぃ」
 すぐに力なく肩を落とした。




「リリィさん?」
 ゲートエリア、中央ロビー。
 惑星へと旅立つアークス達や、帰還した者達が往来を行き来する地点。
 其の中の誰かから声を掛けられて、リリィはくるりとそちらを向いた。
 わりと毎日に近い頻度で顔を合わせるサポートの一人が、そこにいた。
「――ん? あれ、つばっきーどしたん?」
 ひょろりと背の高い、サポートの青年――椿。
 背丈に似合わず運動神経が鈍く、その代わりといってはなんだが、同時平行での作業――特に機械操作やアークス内の情報収集能力が異常なレベルで高い。
 緊急事態において、アークス本部から情報をかき集めるのは序の口で、最悪、オペレーターに直接介在して支援物資を送らせることすら平然とこなしてしまう。
 そんな彼が笑みながらも驚いた――それも心底――ように言った。
「こちらの台詞ですよ。お酒も飲まずに、こんなまともな時間からクエスト直行なんて」
 普段丁寧さを欠かさないが、自分と、自分のマスターについては随分と慇懃無礼な口調である。
 リリィは半分睨みながら回答した。
「用事って奴よ全く、面倒くさい。あ、そういやラピピ知らない? つばっきーと一緒だと思ってたんだけど」
 ついでに、質問を投げ返す。
 同居鳥のラピピは、基本的にこの目の前の椿とは仲が良い。
「マンルーンさんについて行って貰ってます。急にサポートクエストが入ってきたので。それで、出来たらリリィさんには――」
「珍しいね、あたしもなんだよ」
「え?」
「ほれ、これこれ」
 眼前に、各アークスやサポートがフォトンで形成するパネルを展開し、示されている情報を椿に示す。
 彼はその画面を笑みを消して凝視し――
「――おかしい」
 そんな呟きをこぼした。すぐに彼自身のパネルを展開し、リリィの方へと反転させる。
「こちらが僕に届いた方です」
 見れば、内容は全く同じ。違うのは時間のみ。
「……おかしいね」
 サポートクエストは、要はサポートへのテスト。同じ惑星で複数のサポートパートナーに行わせる場合は個人の力を見る為に内容を微妙に変えるか、逆に協力させる為に一斉に行うものだ。時間を少しずつずらすー受ける順番によってクエスト結果に影響が出かねない方法ーというのはおかしい。
 椿が個人端末を叩きつつ頷く。
「マンルーンさんは明け方、僕はつい先ほど――寝てたようですがリリィさんはマンルーンさんより少し後にクエストが来ています」
「よくわっかんないねー。まるで、全員追い出したがってるみたいで――」
 パチン、リリィの脳裏と椿の指がそんな音を同時に弾き出した。
「十中八九其れでしょう」
 答えながら、椿が端末を操作する。
 にわかに空気に雑音――第三者との通信経路が確立された証。
『お忙しい所失礼します、サポートパートナーの椿です』
 画面には通信先――サポートパートナー育成所のロゴ。全サポートパートナーが連絡を取ることが出来る先である。
『君か、どうかしたのかな?』
 パネルの向こうから聞こえてきたのは、少々年老いた感じのする男性の声。どこかで聞き覚えはあるが、どうにも思い出せない。
『本日僕を含めて数名に下ったサポートクエストについてです。時間帯が少しずれてますがどうも内容が全く同じみたいでして。誤送信の可能性があるので、確認をお願いします』
『何?』
 椿の質問に、男性の声が尖る。画面向こうからタッチ音だけが届く状態が数秒続き、
『いや、私の方ではそういったクエストは認知していない。そもそも、前回の襲撃が原因で後方支援の我々も駆り出されることが増えてしまってね、サポートクエストを監督する人員の確保ができない状態なのだよ』
「――じゃ、これ誰が発信したの?」
 小声で、椿に問いかける。
 彼も考えていたのだろう、軽く頷いて、
『どういうことでしょう? 差し支えなければこちらのクエストの発信者を確認して頂いてもよろしいですか』
『少し待ってくれ、今結果が出る』
 ややあって、反応が返ってくる。
『君達と『彼』との最近のやりとりについてはこちらも把握している。おそらく予想通りの人物だよ』
 想像していた答えと、全く重なる回答が。
 リリィは、隣の椿と顔を見合わせた。
「――これ」
「――はめられましたね」
 一見無害そうだが凄惨な微笑を浮かべた彼に、静かに頷く。
 おそらく、自分も同じ顔をしているだろうから。
『さて、二人には申し訳ないが、今回のサポートクエストの内容を変更させて貰うーー所長権限としてね』
 通話向こうの声が、今までと変わらず冷静な言葉を紡いだ。
 静かな言葉の内側に、微かな怒気を感じさせる声。
『君とそちらのお嬢さんの二人で越権行為を行った副所長をどんな手段も辞さずに直ちに拘束し、生きた状態で私の前まで連れてきてくれ』
 ――何しろ人手不足でね。私の責任の下、殺さない程度に好きにしてくれ。
 要約すれば、そんな所だろうか。
 あくどい笑みをしているだろう所長の言葉に、リリィもただ、にやりと笑った。




「ふぅっ」
 最後の一枚を干し終える。これで、午前中の仕事が、一段落ついた。
 白いシーツが流れる風にはためく光景を眺めながら、フィリアは静かに息を吐いた。
 殆ど休憩すら取れず必死に治療等にかけずり回っていたのも、いい加減に落ち着いてきた。緩やかに休める、とまでは行かなくとも、何とか昼休憩は多く取ることが出来そうだ。
 ――最近マトイさんの様子も見れてませんしね。 
 先日のテクニック暴発から気にするようにはしていたが、今は彼女の知り合いのサポートが入院していて、その病室に居ることが多い。見張りがなくとも、何とかなっているのが現状。
 其れでも、担当患者と長い間離れるのは良くはない。仕方なしに数日間離れていたけれど、今日からはまた、昼食等は一緒に取れると思うし。
「善は急げ、でしょうか」
 呟きながら洗濯道具を片づけて、病院内に戻る。慌ただしく移動する同僚に休憩を告げ、簡単な食事をトレーに乗せる。
 目的の病室は未だ襲撃戦で負傷した者達のいる喧噪の中心からやや外れており、この時間は人も少ない。食事の間だけでも少し廊下へ繋がる扉を開けて空気の換気をしたら良いかもしれない。
 ーー自動で清浄化されますが、やはり密閉した部屋というのは心身によくありませんからね。
 そんなことを考えながら曲がり角の向こう、最奥の部屋に目を向けて――
「駄――!」
「――急げ!」
 ――!?
 ここ数日、聞きたくもないのに聞こえてしまう野太い男の声と、急に途切れたマトイの叫び。
 即座にトレーを投げ出し、角向こうに身を踊らせる。
 見えたのは、幾人かの人影と、それに抱えられる意識のない病室の患者、リユイ。床に転がるマトイと、其れを見下している例の男――サポートパートナー育成所、副所長。その手には、暴れ出す患者へと使うスタンガンが握られていて。
 訳が分からず、動きが止まる。されど、脳回路は即座に走り出し、体が駆け出す。
「あなた達、何を――!」
「黙れッ!」
 銃口が向いた、と理解した直後には、全身が痺れていた。動けず、地面に倒れる。
 ――な、にが……!
「急げ、急げ!」
 遠くなる怒声と複数の足音を、倒れた床で聞きながら、フィリアは気を失った。



 ――こんなものか。
 金髪の髪をサイドで結い直したマンルーンは、ラピピと共に採取した戦果を満足げに見下ろした。
 朝型のマンルーンですら起きていない未明に届いたクエストサポートには驚いたが、幸い夜型の椿は起きていたのである程度決め事については話し合えた。ちょっと頼りない部分もあるが、荷が重ければすぐに連絡してくれるだろう。
 森に降り立ってからはラピピも来てくれて、一人よりはずっと効率よく行えたとも思う。マンルーンは真面目すぎるらしく、どうにも非効率な動きが多いので森を庭とする彼が一緒にいてくれなかったらもっと時間がかかっていただろう。
 ただ、心配なのはリリィだ。どうにか朝食だけは用意できたが、流石に起こすのは忍びなかった。代わりにやると言う椿の申し出も断った手前彼に後の面倒を頼むことも出来ずそのまま出てきてしまったが。
 ――ちゃんと起きているかしら。
 戦闘においては頼もしく尊敬すべき先輩だが、残念ながら私生活は反面教師だ。例え起きていても昼間から酒を飲んでいるのかもしれない。
『サポートパートナー・マンルーン』
「っ!?」
 ラピピと二人で食事しながらもリリィに通信すべきか迷うマンルーンの元へ、突然通信が入った。飲み込みかけた果実が喉に詰まりかけ、せき込む。
『……どうした? 緊急事態ならかけ直すぞ』
『――いえ、大丈夫です』
 ラピピに水をもらい、背中を撫でてもらってある程度は落ち着いた所で通信に応える。そして画面に出た相手先にぎょっとした。 
 サポートパートナー育成所・所長。
 ――なぜそんな存在が自分に。
『今はまだナベリウスか。それならすぐ帰還して欲しい。サポートクエストについては気にしなくていい。とにかく、至急、アークスシップへ戻ってくれ』
『何かあったんですか』
『――応答する気がない所か、制御室への転送装置を停止させるとは。これは反逆と取られてもおかしくないと自覚しているのか』
『所長?』
 ブツブツと呟く声に混じって、甲高い音がする。何かを蹴っている感じだ。
『転送妨害の形跡はなし、おそらくシステム根幹に激しい衝撃を与えて一時的に停止させただけ。だが、これはやはりサポート候補生が複数いるだろうな』
 どういうことだろう、とラピピを見るが、ラピピも首を傾げている。取りあえず彼の喉をかいてやれば嬉しそうに歌い出した。
『っと、失礼。とにかく君にも急ぎ帰還して欲しい。君の勇ましすぎる先輩が、将来有望なサポート候補生まで半殺しにする前にね』
 心当たりが一人しかいない為、急いで荷物を集めてキャンプシップへ向かった。
 その時、首にかけていた鎖が弾けるように切れた。
「あ……」
 ペンダント型のオルゴールが、鎖を滑り落下していく。ラピピが翼を伸ばしてくれるが間に合わず、地面に落ちてしまった。
 開いた拍子に流れた旋律は、あの襲撃で衝撃を受けたせいか、酷く歪んでしまっていた。
 



「――準備ができました」
 ――……?
 脳裏に響く、聞き覚えのない誰かの声。
 重くて開かない瞼を、緩やかに持ち上げる。
 瞳の向こうに見えたのは、半透明の板。小さな一人用のカプセルの中、両腕両足、鎖で拘束されていた。
 半透明に区切られた先にいた、どこかで見た男。その周りに居る、無数の小さな人影。
「始めろ」
「はい、わかりました」
 いくつかの会話。其れが何を意味するのか分からずに、言葉を聞いて――
 ピシッ、と。
 何かが、砕ける音がした。
 ――!!
<ワタシノセカイハアークスノタメニ>
 頭の何かが壊れていく。世界が壊れていく。
 今が消えていく。脳が、潰え――
「ア、ァァ、ア、ァァ!?」
 ――狂。


 イタイ。イタイ。
<命ハアークスノタメニ>
 消エル、消サレル。壊サレル。
<全テハアークスガ先ニアル>
 居ナイ。居ナイ。居ナイ。
 消エテイク。消サレテイク。
『ア、ァ、アアアアアアアアア――
 奪ワレル。
<貴様ハ補助者>
 愛ヲ。彼ヲ。
<助ケル者。ソレ全テ>
 生キテキタ、彼ガイタ日々ヲ。
<全テ、忘レ、アークスノタメニ>
 アークスノタメニ、彼ハ。
 ――アークスノセイデ。
 ユキナミト二人デ。
 生キタ、日々ガ――



『サポートパートナー、リユイ。アークスの為に生まれ、アークスの補助者として、アークスの為に生きる者』
「これがお前達に刻まれているパーソナルデータの基礎にあるものだ」
 半透明のアクリル板で区切られた処置場所に存在し、今を持って書き換えが進められている不良品を示しながら、サポートパートナー育成所、副所長の男は、自らが引き連れているサポート候補生達を見ながら、朗々と手を振った。
 今日一日の独断行為を差し引いて余りある、サポートパートナーの再誕。候補生達は、その講義の参加を希望した受講者だ。記憶消去について話してはいなかったが、多少の困惑が有っただけで、全て指示に従って動いた。それでこそ、優秀なサポートパートナーになるという物だ。
『アークスとは宇宙を探索し、絶対敵性存在であるダーカーの討伐を行う者』
「お前達にはサポートパートナーとしてのあり方、必要最低限の知識はプレインストールされていて、あとはそれぞれの個体に合わせたものをインストールして調整していく」
『ダーカーは各惑星の原生種を蝕み同族とし、フォトン行使者を襲い時には一つの惑星を滅ぼす脅威を持つ』
 プレインストールされているプログラムの内容を、音声にて全体に伝える。
 サポートの本来を伝える物語に、不良品を連れ出す手駒となった優秀な候補生達は、熱心に耳を傾けて――
『市街地が襲撃されることもあり、結果、死亡するアークスもいる』
「……ん?」
 ――なんだ、今の言葉は。
『サポートパートナーは己の生命を省みることなく、マスターの為に働き、マスターの為に死ぬ。アークスの目的はダーカーを宇宙から消滅させることである』
 設定にない単語の羅列に疑問が浮かぶも、通常の文章に回帰した。
 いささか奇妙ではあるが、元に戻ったのだからよしとしよ――
『だから、彼は死んだ』
「……なんだ?」
 おかしい。
 記憶を削除して、新たな記憶を植え付ける際に、こんな個人的なものが入る筈はない。
 あり得ない。
『サポートパートナーはアークスの補助者、マスターの為に生きる――だから、マスターを死なせたダーカーを滅ボス為、ワタシはダーカーにナリ得る全テを滅スル』
「バカな!」
 候補生がざわめきだすのも、最早気にする暇もない。
 今、起きていることが理解できない。
「こんなことはプログラムにはない。どういうことだ」
 おかしい。あり得ない。なぜ、こんな――
『彼ヲ消サセハシナイ』
 バキィ、と何かがへし折れる音が鳴り響く。
『ワタシガ愛シタアノ人ヲ』
 反射的に振り向いた視界の先。
 いくつもの破片に砕けたカプセルの残骸から、記憶を消されるはずだった者が落ちる。
 球体から出てきた其の姿は、まるで生まれたての雛――
《イラナイ》
 赤子と呼べる『それ』の産声は悲鳴であり、終末の合図でしかなかった。


《アークスナンテ、ダーカーヲ呼ブ存在ナンテ》
 ユキナミヲ、消ソウトスル存在ナンテ。
《人一人守レナイ組織ナンテ、殺ス存在ナンテ》
 アノ人ヲ忘レル世界ナンテ。
《イラナイ》
 小さな影が、いくつも。大きい影が、何か叫んで。
 ソノ、大キナ方ハ。
 絶対ニ、壊サナイト、駄目ダッテ。
《消エテ》
 真紅の羽を世界に舞わせて、少女は凍てついた叫びを上げた。




 かつて見知った、育成所の内部。
 人払いもされていたのか、人影のない棟内を疾走しながら、リリィはナスヨテリを取り出した。
「――あんの野郎……!」
 病室へ向かった椿からの連絡に、リリィは心から沸き立つ殺意を抑えることができなかった。
 通信越しにも見えた、荒らされた病室。看護士に介抱されるマトイとフィリア。争った跡こそなくとも、彼女らの体に残る、電撃の跡。
 そして、消えた病人ーーリユイ。
 マトイもフィリアも、命に別状はない。問題は、連れ去られたリユイと移動方法。
『サポートクエストの独断発注について話を聞こうとした所、通信を拒否された。完全にクロと判断し上位権限で彼の権限の一切を一時的に無くしたから、もう彼は扉を介した移動は出来ない』
 そんな男の取った手段は、大きく開かれた非常口の扉と、そこから繋がる下水道のマンホール。
 ーーそこまでするか普通。
 完全に反逆と見なされて然るべき行為の数々。
 詰まるところーー。 
「そんなにリユっち殺したいか……上等ッ!!」
 それだけリユイの記憶を消して、アークスにとっての役に立つ人形にしたいということ。
 吠え猛り、無人の世界を疾駆する。
 ――あたしが直々に涅槃に送ってやるよッ!
 生きたまま所長の元へ連れていくという命令も忘れ、ひた走る。
 やがて見えた制御室――リリィが居た頃から存在した、強制消去のための部屋ーーの文字に、即座にその扉の前に飛び込んで、くるりと体を半回転。
「――ここかぁっ!」
 飛び込んだ勢いのままに扉を蹴り開けて――


「――――」
 絶句した。
 中に広がっていたのは、紅。次に、肉のような何か。眼球。機械の破片。嫌な臭いをまき散らす炭。
 全てに共通するのは、紛れもない――『死』。
 ――こ、んな……。
 靴先を赤に塗らしながら、部屋の内側に入り込む。少なくとも、リユイの死体や其れに連なる物が無いことに、安堵しながら。
 処置用カプセルは瓦礫と化し、操作する為の機械は爆裂四散している。部屋の中心辺りに、先日まで喧しく叫んでいた男の顔の左半分が、世界の終わりを見たような表情で転がっていた。
 辺りに散らばる肉片はキャストの物や、ヒューマンやニューマン、デューマンの物が入り交じっていたが、一つだけ明らかな特徴があった――ほぼ全て、アークスの物と見るには小さいという事。
 これはきっと、報告にもあった――

「――ど、う……し……」
 脳裏の結論を裏付けるような、壁際からの声。
 反射的に振り向いた先、体半分が炭になっている、サポートパートナーの少年。デューマンだったのだろう、伸びていたはずの角も中心から折れていた。
 もう、治癒も間に合わない。ムーンアトマイザーを投げても、全く意味がないだろう。
 焦点が定まらない目で、彼は世界を見回していた。壊れている口元が、ゆっくりと、言葉を紡ぐ。
「アー、ク、ス、の、為……って……言っ、て……た、のに……なん、で……?」
 ゆるゆると、炭になった右腕が動きーーボト、と手首から先が千切れ、血の海に沈む。
「マ、スタ、ー、も、居な、い……僕、た、ち……なん、の、為……生、まれ……――」
 少年の瞳から、大粒の涙が零れ落ちて――
 そうして、彼は動かなくなった。
「――せめて、来世で、幸せになって」
 リリィはただ、安息の印を切った。ほかに、出来ることなど何もなかった。
 踵を返し、部屋の外へ。この部屋の片づけもそうだけれど、今の最優先はリユイだ。あの部屋に、彼女の死体と思わしき物はなかった。
 記憶を消されかけた結果の、周囲の皆殺し――なら、次はどこに向かうのか。
『椿、今リユイがどの辺にいるか分かる?』
 不自然な沈黙。通信が届いてないのかと再び口を開くより先に、椿からの情報が到達する。
 そうして、思考が停止した。
 記されていた場所――アークスシップ・ソーン。その、中枢とも呼べる場所。この船の心臓部分に続く通路。
 そして、位置情報と共に示されていた、修羅の如き紅に染まった少女とーー周囲に倒れる、人らしきモノの影。
 ――リユ、っち……!
 写真の中で、少女は嗤っていた。
 狂ったように、嗤っていた。



<あぁ、ソーンで? へぇ、そうなのかい。まぁ、僕には関係ないからね。頑張ってくれたまえ>




「大丈夫、きっと大丈夫」
 必死に、訴えかけるように、祈るように。
 キャンプシップから出てすぐに拘束されたマンルーンとラピピは、控えの部屋で互いの手を握っていた。
 無理矢理記憶消去されそうになったリユイが記憶障害で暴走し、リリィと椿が彼女をどうにか抑え込もうとしていると言われた。マンルーンとラピピは万が一リユイを庇わない為に行動を制限されただけだと部屋を訪れたコフィーが言っていた。
 実際は、万一先の二人が失敗した時の控え、暴走したリユイに対する人質。そうした目的を多分に含んでいたけれど。
「リリィなら、きっと。リユイだって、知り合いと話せば」
「ぴぃ」
 何が起きてるか分からないと顔に出ているラピピだが、それでも不安と緊張で無表情となったマンルーンの手を優しく握り返した。普段使っている銃は没収、その気になれば移動できるが、それが他の皆の迷惑になることは分かっていたから、座って誰かが来るのを待っている。
 大丈夫かな、と心配だけれど。リリィはすごいし、椿もすごいから、何が起きてるのかすら分からないけれど。
 早く皆で一緒に、大好きな果実を食べたいな。
 乾いた喉をゴクンと鳴らして、ラピピは無機質な扉から見知った者達が来るのを待ち続けた。



 
 もう悲しいことが起きないように、人々を助けるために彼を助ける為にダーカーを殺してダーカー因子を排除できない者は壊してしまわないと。
 アークスシップに住む全ての人とアークス組織の為に、ダーカーが集まる原因であるフォトンを操る存在(アークス)は全て滅してしまわないと。
 アークスの為のサポートパートナーの意識は、破滅の思考で捻れて歪んで『それ』の行動原理となる。
『それ』は記録に残された動力部を目指し、歩き続ける。最も効率の良い方法の為に。
 ――リユイ。
 彼女が、振り返った。
「……?」
 声が聞こえた気がした。
 懐かしいなんて言葉を使わないといけない、使いたくなんてない愛しい声が。
『それ』は疑問を呈する。『それ』の生まれた理由を否定する事象を確認して。
「ユキ……」
 ――そっちじゃないよ、こっちこっち。
 彼女は声の方へと歩き出す。
『それ』は困惑する。アークスの為にすべきは破壊であり誰かを探すことでも追いかけることでもないのに、と。
 ――リユイー。
 でも、彼女は声の主に逢いたくてそちらへ向かう。
 彼女の砕けて壊れた心を代弁するかのように血を含んだ雫が頬を撫でていく。
「ユキ、ナミ……?」
 彼女の声が、足が、意思が。
『それ』は彼女に従い、声に向かって歩き始めた。



 椿はリユイが寝ていた病室の隣でリリィのサポートに徹することになった。
 隣の部屋には介抱されるマトイとフィリア。二人を気絶させた愚か者はレッドカードにより既に此の世から強制退場させられた。
 そしてその男の置き土産、或いは死因。
 リユイの暴走。
 心身状態が不安定なサポオートパートナーの、超短期間での強引な初期化。ショック死という結末であってもおかしくなかった。
『彼女の自我の隙間にサポートとしての基礎が上書きされてしまっている。それによって本来の使命と彼女の思考宇とが混ざり合い、暴走してしまっているんだ』
 壊された機材からどうにか取り出したデータを所長が解析した結果、リユイのログーー精神と言動についての異常を確認、それらに共通する今のリユイの行動原理。
『アークスを滅する』
 その為に行う次の行動は、ソーンの動力部の破壊によるアークスシップの破壊。
 それを成し得るだけの力が、彼女にはあった。 
『拘束してリカバリーを行っても、脳が耐えられないだろう。それに何より、彼女が彼女の意志を貫くことは確実だ』
 その結論が下された瞬間、サポートクエストの内容は変更された。
『ターゲットは暴走したサポートパートナー・リユイ。彼女が動力部につく前に、急ぎ討伐せよ』
 ここまでの騒ぎになれば公式に記録を残さねばならず、上層部のお抱え暗殺者は公式記録に残せない。
 また先の襲撃で活動できるアークスは少なく、これ以上アークスを分散させる訳にはいかず、何よりも――暴走したサポートを止められる実力者がおらず。
 そして役者二人は目も眩むステージへ。
『リユイってばー』
 裏方は、舞台を整えるべく暗躍する。
 ――マスターもいないのに、どうして生まれたのか、ねぇ。
 即興で用意した、ユキナミの記録された音声の再生。リユイを動力部中枢から指定された場所へ誘導していく。
 その中でも、椿の思考は別のことを同時に考えていた。 ーー確かに出会えなかったのは不幸だけど。
 では出会えず死ぬサポートと、出会えたのに死なせたサポートならどちらがより深い絶望を覚えるのだろう。
 灰にされた哀れなサポートパートナーと、血塗れになって歩くサポートパートナー。
 夢に見た未来を迎えられず涙したデューマン少年と、夢を見ることでしか自我を保てず涙も流せないニューマンの少女。
 思い出があるじゃないかという人間を、椿は冷笑する。
 マスターはサポートパートナーにとって世界そのものであり、麻薬だ。
 マスターが存在しないというのは有り得ない。
 マスターが存在しないのに自分が存在するなんて有り得ない。
 マスターの存在がないなんて耐えられない。
 マスターの存在がない世界が平常であることなんて耐えられる訳がない。
 だから、彼女の結末は決められていたこと。けれどリリィをはじめ多くの者がそれを理解せず、時薬に頼った。理解していた者達は、何度も裏切られたのにまた奇跡を願ってしまった。
 罪と罰の同化。彼女の暴走は彼女の罪であり、マスターを失ったサポートに対する、無力な周囲への罰なのだ。
 だが、罰は責任とは別次元の話だから。
 責任を取らないといけない。彼女を無理矢理つなぎ止め、壊してしまった責任を。
「――結構、貴女のこと好きでしたよ」
 リリィは自然体でいられて、ラピピは気軽に話せて、マンルーンは純粋で。
 リユイには、親近感を覚えていた。形は違っても、分かりにくくても、彼女も間違いなくマスター至上主義だったから。
「でも、僕の夢を終わらせるわけにはいかないんです」
 ただ、だからこそ守らないといけない。
 マスターが存在しない世界なんてあり得ない、マスターが存在しない世界を許容するなんてあったらいけない。
 マスターを殺す存在を認めるなんて許されることではない。
「貴女だって、逆の立場ならこうするでしょう?」




 ――ここかっ!
 椿から指示された扉を蹴破って、中へと転がるように飛び込む。
 アークス施設内、所々にある整備された広場ー――重要施設が何もない場所ーーの一角。
 部屋の隅に、いくつかのベンチや自動販売機があり、中心には観葉植物としてか、何本かの広葉樹が立っている。
「――そっか」
 そうして、世界に遺された少女は、独り、そこにいた。一つの樹の幹に、寄り添うようにして。

「やっぱり、もう、ユキナミはいないんだ」

 世界に遺された少女は、独り、そこにいた。
「……なんで、こんな事したのさ」
 リリィは息を落ち着かせてから、佇む少女に呼びかけた。 
 少女の純白のワンピースは深紅に染まり、長く延ばした髪は血糊で汚れ、空に舞う五枚の羽は紅に歪んでいる。
 彼女は、おかしそうに口元を歪めながら、こちらへと歩み寄ってきた。
「ナンデ? だっテ、ユキナミさんがいない世界なんて、否定スル世界なんて――いらないよ?」
 変わり果てたリユイの姿に、リリィは淡々と問いかけた。
「――そんな事のために、あいつがあんたを生かした訳じゃないのは、分かってる?」
 自分ながら、薄っぺらい言葉だな、と苦笑する。
 他に伝える言葉が、伝える手段が無いことを、理解しながら。
「彼がイナイ。生きてナイ、存在しナイ。ナイだけの世界。価値もナイの。置いていかれたから、追いかけなきゃアの日のようニ。彼を生かシテくれなカッた世界を、壊した後デ」
 焦点の歪んだ瞳が、冷たい輝きを帯びていく。展開されていた五枚羽が、炎に、氷に、雷に、風に、光に、瞬いた。
 少女が、ゆるりとこちらを向いた。
「リユっち。あんた――」
 問いかける。されど、彼女は否定の代わりに、羽を舞わせた。
「――お話は終ワリ、これでオワリ。ソレで始めよう? アナタが守るか、私がコワスか」
 少女は、笑っていた。話しながら、笑っていた。
 笑いながら、泣いていた。
「――馬鹿だよ。リユっち……!」
 これ以上は不可能なのだと、絶望を理解して。
 リリィは、ナスヨテリを展開した。



 轟、と暴風が吹き荒れ、瞬時に彼女の四つ羽が輝き――
 即座に真横へ跳び退き、駆け出す。着弾する炎弾の雨を避け、矢を放つ。瞬時に羽が動き、彼女の前に風の壁――弾かれた。
 着地と同時に方向転換。リユイめがけて走り出す――遠距離では、あの術の壁を打ち破るのに時間がかかるし簡単に避けられる。第一、遠距離戦はリユイの独壇場になる。接近しなければ。
 斜め前へ跳び、瞬時に左へ。足首に負担を掛けても、前へ飛び出す。
 降ってくる炎が、背後から来る風の刃が、上からの雷が、存在した場所を的確に打ち抜いてくる。
 ――全部が即死級か。分かってはいたけど……!
 滅茶苦茶きつい。手加減は愚か、本気で相対して尚。
 向こうには距離の概念がない。更に、神速の詠唱とフォトン吸収による無詠唱、無制限の術の嵐。
 並大抵の、いや第一線のアークスですら一撃で戦闘不能に陥る威力。奇襲気味に攻撃を仕掛けられたら、対処は不可能。
 ――こっちも一撃で、仕留めるしかない。
 ここにきた時点で、もう覚悟はしてるから。
 真後ろからの光槍を、斜め右に飛んで避ける。牽制に矢を番え――諦めて右横に。炎と氷の弾丸がぶち抜いてきた。
 距離にして、後数歩で、打ち抜くための間合いに入れる。
 この数歩が遠いということは、誰よりも、理解していた。



 本当は、分かっていた。
 ――愛シテル。
 もう何をやってもどうしようもないのだと。
 ――私ヲ置イテ逝ッテシマッタ、アノ人ヲ。
 どうやっても、彼は帰ってこないのだと。
 でも、声を聞いた時、信じたくなった。なってしまった。
 ――貴方ト生キル、昨日ト、明日ニ。
 自分が何も出来なくても彼は生きてる。
 あの死にかけた最初の出会いの時のように、ファンジの時のように――
 ――存在シナイ世界ヘト。
 けれど、彼の代わりに訪れたのは、最強のサポートパートナー。
 なら――
 ――全テ超エテ、会イニ行ク――



 ――後、一歩。
 戦闘開始から、数分と経過はしていないと思うけれど。
 気分的には、一時間も戦い続けているようだ。
 一撃食らえば最後だということ。外しても終わるということ。なによりも、リユイを殺さなければならないということ。
 全部が重荷になって、最後の一歩が遠すぎて――
 ――だけど。
 ダン、と。
 背後で炸裂した炎を足蹴に、眼前で炸裂した雷の雨を潜り抜けて。
 リユイを、殺せる、間合いへと。
 ――これで。
 ナスヨテリを構えながら斜め前へ飛び退く。氷の嵐に掠りながら、矢を番える。
 瞬時に、羽の一枚がリユイの前へ――無視してフォトンを集約。周辺全てのフォトンをかき集める。
 近くで羽が瞬き、雷が真上から――落下。
 ――ッッ!!
 全身が痺れる。意識が食われる――耐えきって。
 痺れる視界の中で、必死にリユイを捉える。正面に二枚の羽が飛来。残った羽も全てが、彼女の前。
 轟、と巨大な火球が二つ。強固なる風の防壁が、三つ。
 それ全てを見据えて――リリィは、フォトンを解き放った。


 轟、と。
 終焉の女神、と名付けられた神速の矢が。
 集ったフォトン全てを吐き出して。
 未曾有の嵐となって、解き放たれた。

 全てが、終焉を介する一撃――ラストネメシス――となった、百万の嵐――ミリオンストーム。
 全フォトンを吐き出す、文字通り最後の切り札。
 終焉の嵐は、触れる全てを飲み込む火球を粉砕し、風の防壁を貫いて――

 真っ赤な華が、世界に舞った。




 全てを解き放ち、前のめりに崩れ落ちそうになりながらも、リリィは意識を手放さずに、前へ歩き出す。
 リユイが居た場所には、紅い華が咲いていた。
「――ァ、リリ、ィ……」
 中心に、瀕死の体で倒れる少女が一人。
 腹部に無数の穴。右腕は皮一枚で繋がっていて、左腕は消し飛んで。両足は太股から先が、遠くの方に転がっていた。
「――リユっち」
「――あ、りが、と。これ、で……ユキ、ナミ、に……逢え、る、から……」
 瞳から血の涙を流し、口から鮮血を零しながら、それでも、彼女は笑っていた。
 これが幸いなのだと。リリィの願った、彼女だけでも笑って生きている未来よりも、こんな結末が良いのだと。
 彼がいない辛い世界を一瞬で終わらせることが、幸せな終わりなのだと。
「……馬鹿。本当に、馬鹿だよ……!」
 少女の体が、光に包まれていく。
 彼女は、ずっと笑っていた。彼が生きていた頃のように。
「それ、と……椿、に。あり、がとう、って。ユキ、ナミ、の、声……最期、に、聞け、た……」




『あり、がとう、って』
 画面を凝視していた椿の指が、微かに震えた。
 自分の名が出たことも、その後に続けられた言葉も。
『ユキ、ナミ、の、声……最期、に、聞け、た……』
 こんなの、自分はしなかった。
 悲しみに暮れて、周囲を拒んで、それでまた大事なものを失いかけて、忘れることを選んで。
「なのに、なんで……」
 終わりを望んでいたのはわかっていた。でも、誘導の為の、彼女と彼女の記憶で生きる彼を殺す行為に、感謝なんて。
 価値観の違い。それが衝撃となって『椿』の根幹にあるものを揺らす。
 親近感を覚えていた相手が、きっと自分と同じ選択をするとわかっていた女性が選んだ行為。
 彼の手が、ピアノを弾くように動き始めた。


『それ』はどうにか、一矢報いようとしていた。
 アークスの為に、彼の為に、ダーカーになる全てを滅する。このシップを中心に船団オラクルを宇宙の塵とする。
『それ』の生まれた理由を邪魔したサポートを、せめて相打ちにしなければ。
 残された羽の残滓が、赤に染まり始める。
 けれど、彼女は、『それ』を止めた。
『かーれはどっこにいーるのーかなー♪』
 だって、聞こえてしまったから。
『それ』を宥めるように、彼女を慰めるように耳朶に届いた、歌を。
『出ーないとくーびもと切り裂くぞー♪』
 まだ椿は勿論、諷雫やマンルーン、くーちゃんとも出会う前。火山で、核付きのキャタドランを二人で退治しに行った時の歌。
「……しー、です」
 彼女はあの時と同じ言葉を言うために、声を絞り出した。肺に血が入り込み、噎せるのも厭わずに。
「こぇが、お、きいですよ……ますたー。ついで、に、へた……ですよ」
 でも、好きだった。楽しそうな声が、声変わりする直前の、優しい声が。
 他愛ないやりとりを、最期にもう一度出来た。けれど、それすらも、手向けを用意する為の時間稼ぎだった。
 一瞬音が途切れる。そして、
『愛してる』
 ――ああ、違う。
 椿らしからぬ演出に、泣き笑いを浮かべる。共感はされなかったけれど、彼なりにリユイの想いを理解してくれていた証。
 ――違うの。
 普段であればリユイですら騙しきれる、とても自然な合成音。
 でも、彼女は聞いたから。
 ――愛してる、なんて。
 そんな、特別な響きではなかった。でも、只の音の連なりよりもずっと特別だった。
 リユイだけが知っている、彼が消えても残し続けた、特別な言葉。
 自分が消えても決して忘れない、彼の最期の言葉と想いは。


 ――大、好き。


「今、行きます……ユキ、ナミ――」

 ――私は貴方を、永遠に、愛してます。




 少女の体が、光へと消えていく。
 音にならなかった最期の想いが、リリィには聞こえた気がした。




 荒々しく、扉が開かれた。
 椿は振り返ることなく、報告書を送信した。
「……、……っ!」
 少女が必死に声を絞り出そうとしているのが分かる。ラピピが心配そうに椿と少女を見ている。
 椿が、振り返った。
「――おかえりなさい」
 褐色の肌の少女が、息を飲んだ。
「リユイ、は……」
 知ってるはずなのに、確認せずにはいられないのか。椿は癖で笑みそうになるのを自制した。
「リリィさんによって、つい先ほど討伐されました」
 今送ったのは、その報告。今回の事件経緯について椿サイドでの報告も求められたのだ。
 リリィは、免除された。それは討伐させた者の気遣いか、単純に彼女の書類処理の酷さからか。
「そんなの知ってる!!」
 破裂直前の、喉を壊すのも厭わない怒声。
 普段なら震える身体が、今は鉛のようだった。
「知ってる、全部聞いた。そんなことよりも」

「あの子は、苦しまずに死ねた?」

 しなやかで野生美的な少女、不思議と色気すら覚える少女の、
「安らかに、ユキナミさんの所へ行けた?」
 そんな少女の、訳知り顔の聖女よりも純粋な問い。
「サポートの魂も、死んだアークスと同じ所へ……っ」
 誰にも分からない、分かるわけがない問い。
 簡単に人格を消される人形が、果たしてヒトと同じ所へ逝けるのか。
 自分達は、ヒトなのか。
「――とっととシャワーを浴びて来て下さい」
 暗に答えることを拒み、椿は無理矢理少女をシャワー室へ押し込んだ。
「……」
 泣き出す少女の顔が、曇ったガラスで見えなくなる。
 椿は決して振り返ることなく自らに用意された机に座り、そこにあった硝子細工を手で弄び始めた。
 花の形をしていた硝子細工は、マンルーンのマスターに贈る為襲撃直前に購入したものだ。あの後確認したら花弁ごとに割れてしまっていて、贈れるはずもなく、椿が貰う形になった。
 彼のマスター・諷雫への贈り物であるオルゴールも、マンルーンは渡すことが出来ず自分で所持しているらしい。
 光を浴びて七色に光る二つの花弁を、手でもみくちゃにするように握ったり動かしたりする。
 シャワー室から、轟音が響いた。
「ぴっ!?」
 激しい水圧は壁越しにもうるさく、ラピピが驚いた声を上げる。
「入っちゃダメだよ、ラピピ」
 それでも、きっと。
 ラピピがそっと扉の傍に寄り、離れた。彼の位置からなら、水音の中でも少女の慟哭は確かに届いただろう。
「ぴぃ」
 肩を――肩らしき部分を落としたラピピは、やがて椿に目を向ける。
「ぴっ」
 それから慌てて部屋を出ていった。椿は首を傾げて硝子細工を弄っていない手で、顔に触れる。
 普段通りの筈だ。目を隠す程長い前髪も、その下の目の傷すらもラピピは幾度か見てる。笑ってはいないが、涙も流していないし、筋肉の強ばりも感じられない。
 どうしたんだろう、と思う椿の視界に再びラピピが現れた。
「おかえり」
「ぴ!」
 戻ってきたラピピは、救急箱を持っていた。それを押しつけられて、困惑する。
「怪我でもしたの?」
「ぴぃ!」
 ぶんぶん、と激しく顔を振られる。ならばどうして、と思う椿の手を、ラピピはそっと握った。
「……あ」
 硝子細工は、砕けていたのだ。
 そんなものを加工することなく手で転がせば、肌が切れるのは当然である。
「ぴぃ、ぴぃ」
 痛いね、痛いね、とラピピがクチバシで軽くつつく。
 綺麗な結晶を、赤い血が滴り落ちていた。
 まるで、涙みたいに。



 誰もいない部屋の扉を開けて、リリィは無言のままに足を進めた。
 いつか、近いうちに消えてしまうこの場所――ユキナミとリユイが生きていた部屋。二人が存在した証。
 乱雑に物が置かれた部屋の中は、相変わらず歩きにくい状況で。
 皆で過ごした頃と、何一つ変わってなくて――
 ――ユッキー、結局直してないや。
 朝食の時に寝ぼけ眼で起きてきたユキナミが、物に蹴躓いて朝食の並んだテーブルに突っ込んだ跡。
 ――リユっちも、この癖治らなかったかー。
 部屋の隅に山と積まれた、綺麗な女性用の服の山。
 彼に誉めてほしいからと、給料限界まで買う癖もあった少女の想いの跡。
 ごった煮のようなリビングを抜けて、バルコニーの方に出る。
 ラピピと二人で朝食を食べに来た事。つばっきーやマンルーンを引き連れての晩餐会を開催した事。リユっちの悩みを聞いて一晩中話し合った事もあった。
 何があったのか、何をしたのか。忘れられない程に、沢山の出来事が有った。
 この部屋だけじゃない、自分達の部屋でも。つばっきー達の部屋でも。見知らぬ星の一部でも。
 忘れられない位の、沢山の毎日が有って。
 消えてくれない位の、二人との思い出が有った。
 何よりも楽しかった、皆との毎日が存在していた。
 バルコニーに設置されていた、ロッキングチェアに腰掛ける。ゆらゆらと揺れる木の椅子に体重を預けて、静かに空を見上げる。
 彼が好んでいた、浮遊大陸の光景。変わらない景色を眺めながら、持ち込んだグラスにウイスキーを注ぐ。
 ――いつか飲もうね、って話してたけど。
 結局、一緒には飲めず終いで。
 リリィは、そっとグラスを天へと掲げた。遠くにいる二人に、乾杯を捧げてから、其れを静かに煽る。
 痛みすら覚える液体を、全部受け入れるように飲み干して、リリィは震える声で呟いた。
「――せめて、そっちじゃ幸せにね」
 瞳から、雫が一滴流れ落ちる。
 頬を伝って流れた雫が、琥珀色の水面を、悲しく揺らした。


 ――あとがき
 存在しうる世界の物語。
 世界から否定された二人の結末。
 愛して、愛した物語。
 読了、ありがとうございました。

 前作を書き上げた後に、ふっと思い浮かんでしまった物語でした。欠片も容赦なく、救いなく、其れでいて二人にとっての永遠を描こうと。
 どうしてこうなった。容赦というか何というか。
 もうちょっとマシな救いはないのか、と。
 ないでしょうけどね、自分の場合は。

 なお、今作に関しては一部以上相方の手伝いによって紬出されました。心を揺さぶれそうな展開とかは、大体相方の案でございます。
 途中に出てきた一文――「辛」「一」の二つは、この時間軸における始まりの物語に対する、一つのアンチテーゼとなっています。仕掛け人は相方です。
「サディストでも悲劇演出家でもない、そこに物語があれば全力で表現するだけ」
 ということらしいです。
 それでは、また次の更新にてお会いしましょう。
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