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Possible world~ある街角~

 書きたくなったんだ仕方ないね。
 でもってこれで書き貯め消えたんだ、仕方ないね。
 次が何時になるのか想像もできなくなったね。
 orz




「――リユイ、来ないなー」
 ストリートエリア、北西部の公園。穏やかな時間が流れる憩いの場にて、ベンチに体を預けながら、ユキナミは嘆息と共に呟いた。
 あの後。目に見えてわたわたと慌てだしたリユイに焼き上がったトーストだけ持たされて部屋を追い出された。
 行く当てもなくトーストを齧りながら、ストリートエリアに降り立って――お昼を知らせる腹時計が鳴り出す位には、時間が経過した。リリィ達に付き合わされて街中をうろついては居たけれど、退屈なのは変わらない。
 隣で缶コーヒーを飲みながら、リリィがちっちっち、と指を振る。
「女の子の準備には時間が掛かって当然だかんね、ユッキー。後片付けとかもあるだろうし、此処は男の余裕を見せる場面だよ!」
「ぴぴぃ!」
 ホットドック――ラピピ自身のお小遣いから購入したもの――をかじりながら、ラピピが同意するように片羽を上げる。
 美味しい物を食べて、どこか満足そうなラピピの頭を撫でながら、
「んーまぁそうだけどさ、もう二時間は超えてると思うんだけど」
「シャワーとか浴びてたらそーなるんじゃない?」
「シャワー? またなんでさ」
「其れがわかんないから駄目駄目なんだよ、ユッキー」
「ぴぃ」
 何故かラピピからも頷かれた。
 更には、
「リリィさんとラピピさんの言うとおりです。殿方でしたら、女性の身支度には寛容になる物ですよ」
 しみじみとした顔で、番茶を啜っている長身の女性。
 ヴァントは愚か、行き交う人の誰よりも高いのではないか――そう想像して間違いない、2M越えのニューマン女性。
「君はもうちょっと、女の子の扱いを覚えた方がいい。その歳じゃ難しそうだけど」
 其の女性の隣で、缶ジュースを空けている、銀髪をラフなツインテールに纏め上げた少女。
 其々違う言葉ながら、伝わってくる意味や意図は全く等しく。ユキナミは唇を尖らせた。
「どーして其処まで言うかなー、リンさんもイリスさんも」
 長身の女性――リンと、ツインテールの女性――イリス。
 退屈を紛らわせに、リリィとラピピの二人と共に降り立った場所で、まさか朝から知り合いに出会うとは思わなかったけれども。
 時間を待っている身としては知り合いと話が出来るのは、とてもありがたかった。
 其れに、二人ともラピピを見ても驚きもしない――既に何度かマイルームに誘ったり誘われたりしている為だとも思うけど。
「リユイさんをデートに誘われたのでしょう? きっと、喜んでおられることでしょう。そういう時は、身奇麗にしてからデートには向かいたい……そう思って、当然ですから」
「さっすが大人の女! って感じだねリンリン。ユッキー、わかった? そのデリカシーの無い頭に叩き込んどきなさい!」
「ぴぴぃ!」
 ビシィ、と堂々と指を刺してくるリリィとラピピに、ユキナミはただ半眼を向けた。
「なんで二人が威張るかな、そこ。了解、リンさん。そーいうもんだって覚えておくよ」
「私も其れが良いと思う。ただ、君の気持ちも分からなくはない。二時間待ちは、実際長いから」
 缶ジュースを傾けながら、イリスがちらりと公園の中心に有った時計台に目をやった。ユキナミも釣られて目をやる――短針は十二の針を越えていた。
 待ち場所を連絡した後、準備していますから待ってて下さい、と連絡が来たのは十一時ごろ。とうに正午は過ぎている。
「まぁ、僕から誘ったから待つけどさ。にしても長いなー」
 呟いて、ぼんやりと空を見上げる。青空を映した空模様は、いつも通りの快晴だった。
「んー、なんなら見てこよっか? 案外、まだ服が決まらないー、とか泣いてるかもしんないし」
 どこかからかうような顔で笑いながら、リリィが言う。それもありかな、と頷いて――

「――お、お待たせ、しま、した!」
 声が公園中に広がったのは、其れと同じタイミングであった。同時に、肩で息をする音も。
 リリィ達がそちらへと視線を向け、ユキナミも其れに倣った。公園中の視線も一緒に。
 そうして、
「――ごめんなさい、遅れました」
 白黒の羽根飾りを揺らして、どこか赤みがかった頬のまま、柔らかく笑う少女がいた。
 薄い青色を基調とした清純なワンピースを纏い、優しく笑うリユイを見て、ユキナミはただ思ったことを口にした。
「可愛くて、良く似合ってるー」
 少女の顔が林檎になった。
「お、言うねぇユッキー。でもま、実際可愛くなってるよリユっち」
「そうですね。とても大人びていて、綺麗だと思いますよ、リユイさん」
「愛されてるね、ユキナミ君」
「ぴぴぃ!」
 四者四様の反応に、リユイの頬は更に赤へと近づいて。
「ありが、とう、ございます」
 ぺこり、と少女が大きく頭を下げた。
 そのまま、右手と右足を同時に出す――ことはなかったけれど。
 テクテクと近づいてきて、彼女はぎゅっと、ユキナミの手を取って、隣に座った。
「そ、それじゃ、その」
 何を言いたいのかも分からなくなってきたリユイの発言に、リンとイリスが、リリィとラピピが、楽しげに笑うのが見えた。
 そうして、リンとイリスがさっと立ち上がった。
 併せるように、リリィとラピピも。
「それじゃ、私達はこれで」
「ユキナミさん、私達はそろそろクエストに向かいます。デート、ちゃんとエスコートしてあげて下さいね?」
「ユッキー、あたしらも行くよ。きっちりエスコートするんだよ!」
「ピッ!」
「了解、皆お疲れさー」
 それぞれの方向に去っていく彼女達に手を振って、ふと傍らのリユイを見る。
 林檎色の顔をしたまま、微動だすらしていない。もしかして呼吸すら止まってるんじゃないかと思う程に。
 其れでも握られたままの手を、改めて握り返す。ビク、と大きく彼女の体が跳ねた。
 ――なんだろ、なんだか可愛いなー。
 ついでに言えば、新鮮な反応でもある。冷静な彼女がこれほど慌てたのは、初めてだ。
 ――同じベットで眠り始めた時も似たようなもんだったっけ? あんまり覚えてないけど。
 とはいえ。
 折角映画に誘ったのだし、デート、という物に誘ったのだから。
「それじゃリユイ、行こっかー」
「は、はい!」
 手を握ったまま、ゆっくりと立ち上がる。そうして、ユキナミは彼女と共に公園を後にした。



 ――なんでこうなったんだろ。
「マスター、これなんてどうでしょう!」
「アーウン、カワイイヨー」
「そうですか? よかったです! 店員さん、これも準備しといてください!」
「はい、ありがとうございます!」
 ユキナミが見ている前で、女性物の服やアクセサリーが積み上げられていく。
 それらを手にして笑うリユイはとてもとても愛らしいし、見ていても心が楽しめていた――既に三十分以上も前から続いていることを考慮に入れなければ。
 ストリートエリアの一角にある、アークス向けの衣服やアクセサリーも取り扱っているブティック。リユイが時々、知り合いの女性達と一緒に買い物に来る場所らしく、店内は結構な女性客で賑わっている。
 女性物が大半ではあるけれど、一角には男性物の商品も展示されており、周囲を見回しても、大体は誰もがキラキラと輝くそれらを手にとって雑談したり、算段をつけたりと、何らかの形で楽しんではいるようだ。
 ユキナミにとっては、全く興味も何も湧かない事柄だけれども。
 ――なんだっけ、リリィが言ってたこと。あれだ、女の買い物は長いからずっと笑って待ってなさい、だっけ。
 自信満々に、缶ビールを握り潰しながら力説された知り合いの言葉に、内心でのみ苦笑する。
(ユキナミさん! 女の子にとって誰かと一緒に買い物ができるってとっても嬉しいものですから、頑張ってつきあってあげて下さいね!!)
 ――諷雫さん、心折れそう。
 以前から知り合っていた、長髪の女性アークス――諷雫の言葉も同時に思い出しながら。
 彼女達から教わった知識だと、女性の行きたい場所に連れて行くのがデートという事らしいけれど。
 そして、確かにアレだけキラキラ目を輝かせているリユイを見ているのは、なんとなく面白くも、少し嬉しくもあるのだけれど。
 ――……一体、何時頃終わるのかなぁ。
 店員が持ってきた羽根型のイヤリングに、どうしようもなく楽しそうに笑うリユイに、割って入ることも出来そうになくて。
 ユキナミは、店内に入って以来幾度目かの嘆息を吐き出した。
 ――ヴァントさんも、こういう事してたのかなー。
 蒼髪をざんばらに切り揃えた仏頂面の旅人と、普段着に着替えた笑顔のアイドルの買い物風景を想像してみる。思わず吹いた。
 そういえば以前、待ち合わせだ、と昼前にショップエリアに出て行った彼が、毒々しいまでの苛立ちと疲労を纏って帰ってきた事があった。多分、今の自分がしていそうな表情だったと思う――諦観に満ちた囚人の目、とでも言えばいいのか。
 店員との会話を続けるリユイの前に、また一つアクセサリーが増えていく。たまには、思いっきり買うのも良いことかもしれないけれど、流石に飽きて――

「――あれ? ユキナミ君?」
「え?」
 不意に名を呼ばれ、声のした方を振り返る。若干くぐもった、若い男性の声。
 其の声の主は、右手に商品を手にしたまま、軽く此方へと手を振った。
「あ、やっぱりか。珍しい所で会ったね」
「あ、ライサさん! そーだね、珍しい所で会ったや」
 名前を呼んで、彼の方へ歩いていく。漆黒の外套に身を包み、髑髏のお面を被っているブレイバーの青年――ライサ。
 主に戦場、其れも緊急を要するクエストで良く出会う、生粋の戦好き。其れに比例するような実力者でもあった――ユキナミの知る中でも、トップクラスな戦闘能力者。闇色の衣服に髑髏のお面という事で、「死神」と呼ばれていると聞いた。
 仮面の下の素顔を見たことが無いわけではないが、大抵の場合は何かを被っている事が殆ど。其れは顔を隠したがる、というより――
「ライサさんは――あぁ、仮面買いに来たの?」
「そうですね。そろそろ、新しい物が欲しくなって」
 趣味らしい。よく分からないけれど。
 彼が仮面について話し出す時、大抵周囲は一歩引く。
「あぁ、この造形は実に――と、そういえばユキナミ君は一人でここに?」
「ううん、リユイと一緒。今はあっちに居るけど」
 ピッ、と彼女が居る場所を指し示す。其れに彼は、なるほど、と頷いた。
「女性の買い物は長いですからねー。諦めるしかないですし。なんだったら其の間、一緒に仮面でも見ません?」
「ノーサンキュー」
「それは残念」
 軽く肩をすくめて、彼が仮面に視線を戻す。一体何が楽しいのか、そして何故其処まで仮面に惹かれるのか――
「あぁ、ユキナミ君。そろそろ、彼女の方に意識を戻してあげたらどう?」
「え?」
 ライサから言われて、くるりとリユイが居た方へ向き直る――不服そうに頬を膨らませた、魔女っ娘姿のリユイが其処に居た。
 不満、というか不服というか――ともかく、ご機嫌は良くない模様。
 ――……こんな子だったっけ?
 いつもの凜とした、大人びた少女の姿は一体何処に消えたのか。
 気にしかならないが、今は機嫌を戻すのが先決だろう。
「ごめん、ライサさんまたー」
「えぇ、また」
 ライサに別れを告げて、タタタと彼女の元へと舞い戻る。
「ごめんごめん、知り合い居たから話してた」
「そうですか。マスター、この服、似合ってませんか? てっきり、似合わないからどこかに行ったかと思いました」
 リユイが話す声の色に不機嫌さと、若干の不安が混じっている。どうにも良くない雰囲気だと判断して、ユキナミは静かにかぶりを振った。
「え、似合ってるよ。全然可愛いし」
 瞬時にボッとリユイが真っ赤に。不機嫌そうな表情のまま、皮膚の色だけが林檎色に。
「……そ、そうですか。良かったです。でも、デ、デート中なんですから、一人にしないで下さい」
「あー、うん了解」
 ――そーいやデート中は離れるなとか言われたっけ。
 すっかり忘れていたけれど。この様子だと、出来る限りは彼女と共に居るのが良さそうだ。

「それじゃ、そろそろ行こっかー」
「はい! あ、それじゃ会計だけ済ませてきますね」
「了解だよー。えっと、ちなみにどれくらい掛かったの?」
「10万メセタです!」
「え」

 ユキナミにとっての、四月間分の活動費をニコニコと言い放たれて、少年は暫くの間、小遣い増量の願いを出すか真剣に悩み続けた。

――あとがき。
 というわけで物語「ある街角」終了でございます。作ってる本人壁ドンしたくなってきましたなんか。
 ストリートエリアは、ショップエリアの端から見える町の様子をイメージして名づけています。正式名称あれば教えて下さい(;; ) 市街地のあれ……もしかして市街地エリアでいいのか(・・?)
 物語途中で出てきたリン、イリス、ライサは其々フレさんを元に作成しています。愛称のベアーにしようかとも思ったり、名前のアナグラムに失敗したりと、まぁ色々と。許可を頂いた皆様方、本当にありがとうございました。
 この物語、構想自体は結構前から出来ていたんですけれども……いつごろ書きあがるんだろう。ホントニ。
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テーマ : PHANTASY STAR ONLINE2
ジャンル : オンラインゲーム

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気を付けろ!

本当の苦行は買い物した後の荷物だからな!wwwww
手汗で買い物袋をしわくちゃにしたら、獲物を前にした猛禽類の眼差しで睨まれるからな!wwwww

因みにあたしも、買い物は長いw

Re: 気を付けろ!

<り~ぜさん
 マジでか(・・ )
 相方と言った時は特に何も言われんけどなぁ……後「宅急便で運ばせればいいじゃないですか」と。
 買い物長いのは女性の典型例なんだろうかね、イヤホントマジデ。


ヴァーダーの主砲ぶっこみたくなりますなこれ。
んで骸骨仮面wwww

Re: タイトルなし

<カズさん
 エルダー様がプレスの為にケツを鍛えだすレベルだと思います(・・ )
 骸骨仮面さんの扱いが色々酷いことになっちゃいましたけど、まぁ、強いし(・・ )
プロフィール

ヴァント

Author:ヴァント
 PSO2世界を旅する、気楽な放浪者の綴り草です。
ツイッターやってます。

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